日本で北欧料理を自宅でコツコツ作る者にとってスモーガストルタは憧れの一つかも知れない。いや、そもそも前提がオカシイやろ。自宅でコツコツ北欧料理作っている人なんているのか?あ!私か。
まあ、そんな一人突っ込みはさておいて、スモーガストルタ。スモーガスはスウェーデン語でサンドイッチ、トルタはケーキの事ですので、直訳するとサンドイッチケーキ。サンドイッチを大きく作り、ケーキのように飾り立てたパーティー料理です。
これは私がスウェーデンのご家庭でご馳走になった手作りスモーガストルタ。
手作りに限らず、スーパーやベーカリーに行けば大小さまざまなスモーガストルタが売られています。そんなスーパーで売られているスモーガストルタ、何度も見ているのに意外と写真を撮っていない。
それはともかく、ある週末のランチタイムに急に9名(大人4名、幼児5名)が我が家に来ることになり、私たち夫婦を入れて大人6名と我が家にしては珍しく大人数が集まるので、スモーガストルタに挑戦することにしました。お客様にはほぼ強引に夢の実現と実験料理に参加してもらうシステム。
スモーガストルタの具について
スモーガストルタは何年も温めていた野望。この間の調査によると、具には様々なパターンがあるも、王道は下記の2パターン。
シーフード
フィリング1:スモークサーモンサラダ
フィリング2:エビサラダ
ミート
フィリング1:ハムサラダ(リンゴやパイナップルが入るケースも)
フィリング2:レバーパテ
スウェーデンのレシピをいくつも調べたのですが、シーフードと肉の具を混ぜているレシピは見つかりませんでした。お隣のデンマークの話になりますが、魚料理の次は肉料理を食べ、肉料理を食べたら魚料理には戻らないと、料理の順番が厳格に決まっています。デンマーク人に聞くと、まぜこぜに食べるのは気持ち悪いとか。スウェーデンもそうなのかも。
さて、スモーガストルタ初心者としては冒険に走るより王道の具を選択した方が安全でしょう。たまたま冷凍庫にはノルウェーのボイル小エビがある、レバーパテは好みが分かれるだろうと、具はシーフードに決定。ところがスーパーで想定していたリーズナブルな切り落としスモークサーモンが見つからない。
サーモンの代わりにサラダチキンを使おう。
え?シーフードと肉を混ぜない?冒険に走らない?いいんですよ、臨機応変で。
ちなみに、サラダチキンを使うのは私のオリジナルアイデアですが、スウェーデンで市販のグリルチキンを使う具があったことからヒントを得ています。
スモーガストルタのパンについて
スモーガストルタにはしばしばフォームフランスカというパンが使われます。これはフランスパンの生地を型に入れて焼いたパンで、日本で言うといわゆる「パン ド ミ」。パン屋さんでパン ド ミを1cm厚さに水平方向にスライスしてもらうか、市販のサンドイッチ用のパンを選んでください。
水平方向にスライスとは下記のイラストの方向です。
なお、今回は自分でパンを焼いています。レシピは下記リンク先をご覧ください。
パンの組み立て方
パンは3段に重ねます。その時、出来るだけつなぎ目が重ならないように重ね方を工夫します。下の絵はその一例。特に決まりはないので、パンのサイズや完成形によって工夫して下さい。実際作り方動画ではまた違う重ね方をしています。
完成時のサイズですが、私が作ったのは約20cm×18cmでした。市販のサンドイッチ用のパンは10cm角ですので、上のイラストのように4枚並べれば大体同じ大きさになります。ホームベーカリーで作ればサイズが違ってくると思うので、完成がこれくらいの面積になるように並べ方や使う枚数を調整して頂ければと思います。
クレームフレッシュの代用
スウェーデンの多くのレシピでは、具をまとめるためと周りに塗るためにクレームフレーシュを使います。クレームフレーシュは北欧で頻繁に使われる発酵乳製品ですが、日本では手に入りにくいので、いつもは生クリームとサワークリームを半々に混ぜて代用品を作っています。生クリーム100ccと市販のサワークリームは90ml/cc(合計で約200ccになる)を混ぜると大抵の料理に事足りるのですが、今回必要な分量は約250cc。なので足りない分を水切りヨーグルト(ギリシャヨーグルトでもOK)で補いリーズナブルになるようにしました。もちろん、生クリーム120ccとサワークリーム120ccで作っても良いです。
それでは、作り方です。
スモーガストルタ
材料
パン
- サンドイッチ用のパン(10×10cm)を12枚
クリーム
- 生クリーム 100cc
- サワークリーム 90cc 市販の1個の分量
- 一晩水を切ったヨーグルト 50g またはギリシャヨーグルト50g
具1:エビ
- サラダ用ボイル小エビ 250g
- マヨネーズ 100cc
- マスタード 大さじ½
- (あれば)チューブのホースラディッシュ 大さじ½
- ディル みじん切り ¼カップ
- 塩・こしょう 適量
具2:チキン
- サラダチキン(ハーブ) 150g 市販品を利用
- 茹で卵 2個
- 作ったクリーム 大さじ5
- マヨネーズ 大さじ1と½
- 小ねぎ みじん切り ¼カップ
- 塩・こしょう 適量
周りに塗るクリーム
- チキンに使った残りのクリーム
- (あれば)チューブのホースラディッシュ 大さじ1
- 擦り下ろしたレモンの皮 大さじ1
- 塩 適量
飾り用
- スモークサーモン 6切れ
- きゅうり、ラディッシュ、スプラウト、フリルレタス、ミニトマト、ディルなどの野菜 適量
- とびっこ、ハム、ボイル小エビ など 適量
作り方
クリームを作る
- 生クリーム、サワークリーム、水切りヨーグルト(ギリシャヨーグルト)をボウルに合わせ、とろみが出るまでかき混ぜる。冷蔵庫で冷やしておく。
具1:エビ
- サラダ用ボイル小エビを細かく切る。
- マヨネーズ、マスタード、ホースラディッシュ、ディルを加えて混ぜ、塩・こしょうで味を調える。好みでマスタードとホースラディッシュも足して良い。冷蔵庫で冷やしておく。
具2:チキン
- サラダチキンを細かく切る。茹で卵をみじん切りにする。
- 作ったクリーム、マヨネーズ、小ねぎを混ぜ、塩・こしょうで味を調える。冷蔵庫で冷やしておく。
クリームを味付けする
- チキンの具に使った残りのクリームにホースラディッシュ、レモンの皮を加え混ぜ、塩で味を調える。電動泡だて器で数分角が立つまで泡立てる。冷蔵庫で冷やす。
サンドイッチを作る
- パンの耳を切り落とす。イラストを参考にクッキングシートの上に1段目のパンを並べる(約20cm角になるように)。1段目のパンの上にエビの具を端まで均等に広げる。
- 2段目のパンを重ね、チキンの具を端まで均等に広げる。3段目のパンを重ね、手で押さえて落ち着かせる。必要なら端を切り落として形を整える。
- クッキングシートの上を滑らせて皿に移し、周囲にクリームを塗る。修理用に少し残しておく。上に爪楊枝を適当な間隔をあけて刺し、ラップをふんわりとかけて冷蔵庫で冷やす。できれば一晩冷やしておく。
- 冷蔵庫から出したらラップと爪楊枝を取り、必要なら少し残しておいたクリームで修復する。
- 飾り用の野菜、サーモン、エビ、とびっこ、など好みの具でデコレーションする。提供する直前まで冷やしておく。
動画
ヒント
デコレーションは、先に側面にきゅうりの薄切りやスプラウトを張り付けて、側面が仕上がったら上にデコレーションします。まずスモークサーモンを丸めてバランスよく乗せ、その間を埋めるように緑の野菜を並べ、アクセントにところどころに赤い具(トマト、エビ、とびっこなど)を置くとバランスが取れます。最後にディルを飾ると北欧っぽい。
ヒントにも書きましたが、具に生野菜を具に使わないのがコツです。日本でサンドイッチケーキとして公開されているレシピではしばしばキャロットラペ、レタス、きゅうり、トマト、紫キャベツなどが具に使われています。確かにその方が切った時に色がきれいで「映え」るのでしょうが、野菜から水が出てパンがペチャっとする恐れがあります。生野菜は具でなく飾りにたっぷりと使いましょう。
切った面は「映え」ませんが、具から水分が出ないので1日経ってもベタッとしません。それに具に生野菜を使うときのような、野菜に塩を振って水を絞る下ごしらえや、パンにバターを塗る前準備も不要。
スウェーデンで出してもらったスモーガストルタのようにレモンのスライスを飾っても良かったかもな。
どうしてもおもてなしの当日はバタバタしてしいますよね。スモーガストルタは前日に準備しておけるので当日の作業は飾り付けだけ。是非お試しください。