フィンランドらしいお菓子の一つにムスティッカピーラッカがあります。ムスティッカはブルーベリー、ピーラッカは生地で具を包んだ料理を指します。英語で「パイ」「パスティ」「ピエロギ」に分けられるものも、すべてピーラッカと呼ぶとか。つまりピーラッカには様々な形状と味(甘い・しょっぱい)があり、例えばフルーツを詰めて焼いたタルトも、ひき肉を包んで揚げたピロシキもピーラッカ。
ピーラッカを一つの言葉で表すのは出来ないのですが、型に生地を敷き詰めブルーベリーのフィリングを乗せて焼いたオープンタイプのムスティッカピーラッカは、その形状からブルーベリーパイかブルーベリータルトと訳されるのが一般的。
そのフィンランドの「ムスティッカピーラッカ」と日本で紹介されるお菓子はケーキのようなソフトな生地にサワークリームなどとブルーベリーを混ぜたフィリングを乗せて焼いたものがほとんどです。
当サイトでもこのようにレシピをアップしています。
実はこのタイプのムスティッカピーラッカの歴史は浅く、1980年代に「Mamman marjapiirakka(ママのベリーパイ)」の名で家庭科の教科書に掲載されたのが作られるようになったきっかけでした。それ以前は、プッラ(菓子パン)の生地を型もしくはオーブンの天板に直接広げ、その上にブルーベリーを乗せて焼いて作っていました。
生地を捏ねたり発酵させたりと手間と時間のかかる昔ながらのムスティッカピーラッカに対し、材料を混ぜるだけの「ママの(ブルー)ベリーパイ」をフィンランド語で「Helppo Mustikkapiirakka(簡単ブルーベリーパイ)」として区別することもあります。とはいえ、元祖だって菓子パンとして考えれば、成形の手間がないのはとっても楽。
というわけで、元祖ムスティッカピーラッカを作ってみましょう!今回は基本の菓子パン生地を半分にして現地サイズの半分弱と小さく作りました。私の基本の菓子パン生地は2で割り切れる分量にしているので、暗算でも半分にできます(実はここがレシピを考えた時のこだわりでした)。
今回ブルーベリーは北欧と同じワイルドブルーベリーを使いました。なんと楽天の運営している楽天ファームで取り扱いがあったのです。送料無料になるよう2キロ購入。もちろん北米のブルーベリーでもOKですが、その場合は軽く潰してからの方がいいでしょう。
それでは、レシピです。
プッラ生地のムスティッカピーラッカ
用意するもの
- 直径20cmまたは18cm角のオーブン容器
材料
プッラ生地
- 牛乳 90cc
- イースト 2g
- 砂糖 20g
- 塩 小さじ¼
- 粗挽きカルダモン 小さじ1
- 溶き卵 10g
- 強力粉 100g
- 薄力粉 50g
- バター 25g マーガリンでもよい
フィリング
- 冷凍ブルーベリー 200g
- 砂糖 30g
- 片栗粉 大さじ½
- (オプション)レモン汁 小さじ1
作り方
- ブルーベリーを解凍し、しっかりと水を切り、砂糖と(あれば)レモン汁を混ぜて置いておく。
- ボウルに牛乳を40℃くらいに温めイーストを入れて泡立てでかき混ぜる。
- 砂糖、塩、カルダモン、溶き卵を順に入れてかき混ぜる。
- 薄力粉と強力粉を数回に分けて加え泡だて器で混ぜる。泡だて器が重くなったら手に替えて捏ねる。全体が馴染んだらバター、あるいはマーガリンを加えて捏ねる。
- ある程度生地がまとまったら台の上にあけて15分くらいしっかりと捏ねる。
- ボウルに捏ねあがった生地を戻しラップなどで覆い、オーブンの発酵モード、あるいは暖かい場所で40分程度、あるいは2倍くらいになるまで発酵させる。
- 発酵が終わった生地を軽く捏ね、5:1の大きさに分ける。型にクッキングシートを敷き、大きい方の生地を指を使って全体に広げる。縁は1cmくらい立ち上げておく。
- ブルーベリーの水分を再度しっかりと切り、片栗粉をまぶす。生地の上にブルーベリーを広げる。
- 小さい方の生地を20cm×10cmくらいに伸ばし、8本の紐に切り分ける。ブルーベリーを広げた型に格子に並べ、端をしっかりと留める(型が四角い場合は対角線で斜め格子にするといい)。
- ラップをして15分くらい休ませる。
- 表面に艶出しの溶き卵を塗る。
- 200℃に予熱したオーブンで20分~30分焼く。焼き上がったら網の上で冷ます。
動画
ヒント
ママのムスティッカピーラッカに比べると軽く食べやすいためおやつだけでなく、朝食にも向いています。
切り分けたらフォークではなく手でつかんだ方が食べやすい。四角い型で作ったなら四角く切り分けて下さい。冷めていても美味しいのですが、夫はレンジで軽く温めて食べていました。バターが多い生地なので温めるとふわっとします。お好みでどうぞ。
ネットで検索すると、フィンランドでもいまやリッチな味わいのママのブルーベリーパイ人気の方高いようですが、一方でプッラ生地のムスティッカピーラッカの方が好きと言う人も根強く残っています。
そんな話をXに投稿したところ、友人のフィンランド人のご主人はプッラ生地の方が好きだとか。会った事のないブロガーやレシピサイトに書かれたコメントでなく、実際にお会いしたことのある方の話として聞けたのは実感できて嬉しかったです。
基本の北欧菓子パン生地(プッラ生地)一つを覚えれば様々な菓子パンが作れます。こちらのリンク先をクリックしてください→プッラ生地を使った菓子パン
新ムスティッカピーラッカがママということは、元祖はおばあちゃんなのか?