ニシンの酢漬けでウマウマの魚パイ

実は今、アクアビットジャパンさんのレシピ本を企画しています。

料亭で働いていた経験のある友人と一緒に制作していて、私は北欧の伝統料理や北欧らしさを感じるレシピを、友人はご飯に合うおかずやおつまみ、カクテルなどを担当しています。

アクアビットジャパンの商品を使って「あれも作れるかな?」「これはどうだろう?」と試作を重ねる毎日。その中で話題になったのが、

「ニシンのマリネ(酢漬け)って、加熱料理にも使えるんじゃない?」

ということでした。

酢漬けというと、そのまま食べるイメージが強いですが、加熱調理も可能ならレシピの幅はぐっと広がります。

魚の酢漬けに火を通すのは変な感じがするかもしれませんが、私は大丈夫だろうと思っていました。というのも、以前デンマークの友人宅で、酢漬けのニシンをフライにして甘酢に漬けた、南蛮漬けのような料理を食べたことがあったからです。

そこで何かヒントはないかと探して見つけたのが、ニシンのパイ(Matjespaj)です。

Matjespaj(マーチェスパイ)の「Matjes(マーチェス)」とはオランダのニシンの塩漬けの名称ですが、スウェーデンで形を変えて、ビャクダンやシナモン、クローブなどを加えた甘酸っぱい漬け汁で仕上げた、独自のニシンの酢漬けとなりました。そのためオランダのマチェスとは製法も味わいもかなり異なっています。

スウェーデンでは夏至祭の定番食材のひとつで、新じゃが、サワークリーム、チャイブと一緒に食べるのがお決まり。その組み合わせをそのままタルトにしたのがマーチェスパイです。伝統的な食べ方をパイに仕立てた、アレンジ料理かな。

「ニシンのパイ」と聞くと、多くの人が思い浮かべるのは『魔女の宅急便』ではないでしょうか。映画では、せっかく届けてもらったのに「私、このパイ嫌いなのよね」と言われてしまう、あのちょっと切ないシーンで有名です。(実は私はまだ観たことがないのですが…)

でも、スウェーデンでパイ(Paj)と呼ばれるものは、映画に出てくるようなパイ生地で包んだものではありません。どちらかというと、日本でいうキッシュやタルトに近い形です。

ではタルトは、というと似た音で「トルタ(tårta)」というスウェーデン語がありますが、これは層になってデコレーションしてあるような華やかなケーキのこと。層になっていないシンプルなケーキは「カーカ(kaka)」と呼びます。

今回は、そのマーチェスパイをさらにアレンジして、アクアビットジャパンさんの「ニシンマリネ ディルサワークリーム」で作ってみました。ディルとサワークリームの漬け汁を使ったニシンマリネを使うことで、参考にしたレシピのサワークリームとディルをカットした手軽なものになっています。

さて、肝心のお味は……。

これが予想以上においしかった!

加熱すると酢の酸味がやわらぎ、ニシンの甘みやディルの香りが引き立ちます。酢漬けをパイにすることに若干の不安はありましたが、これは十分アリ!

レシピはこちらです。私はパイ生地から作りましたが、市販の冷凍パイシートを使えば、もっと気軽に楽しめます。

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ニシンの酢漬けのパイ

Matjespaj
分量 3 ~4人分

用意するもの

  • 直径18cmの底の抜けるタルト型

材料

パイ生地

  • 薄力粉 55g
  • 強力粉 35g
  • 塩 ひとつまみ
  • バターまたはマーガリン 60g
  • 冷水 大さじ1

フィリング

  • 玉ねぎ ½個 約100g
  • バター 10g
  • じゃがいも 1~2個 約150g
  • アクアビットジャパン ニシンマリネ ディルサワークリーム(身)60g
  • ピザ用チーズ 50g

卵液(アパレイユ)

  • 卵 1個
  • 牛乳 50ml
  • ニシンマリネの漬けだれ 大さじ4
  • 塩 小さじ½
  • こしょう 少々

仕上げ

  • チャイブ適量

作り方

生地を作る

  • 強力粉、薄力粉、塩を混ぜ、冷凍庫で15~20分冷やす。バター(またはマーガリン)は室温に戻して柔らかくしておく。
  • 冷やした粉にバターを加え、泡立て器で一気に混ぜ、パン粉のようなさらさらした状態にする。
  • 冷水を加え、ゴムベラで押さえるようにしてひとまとめにする。ラップで包んで円盤状にし、冷蔵庫で休ませる。
  • タルト型に薄くバターまたはマーガリン(分量外)を塗る。
  • 生地をラップではさんで麺棒を使い、型よりひと回り大きくのばす。上のラップをはずしひっくり返して型に乗せ、ラップで押さえながら型に敷き込む。縁は焼くと縮むので、型より少し高めに整える。底全体にフォークで穴をあける。
  • 生地にサラダ油を薄く塗ったアルミホイルをぴったりかぶせる。
  • オーブンを220℃に予熱し、200℃に下げて10分間空焼きする。焼き上がったらアルミホイルを外し、粗熱を取る。

アパレイユを作る

  • ボウルに卵を溶きほぐし、牛乳、ニシンマリネの漬けだれ、塩、黒こしょうを加えてよく混ぜる。

フィリングを作る

  • じゃがいもは皮ごと水からゆで、竹串がすっと通るくらいになったら冷ます。皮を剥いて5mm厚さに切る。
  • 玉ねぎはみじん切りにしてバターでしんなりするまで炒める(焦がさないように)。
  • ニシンマリネは汁気を軽く切り、約1cm幅に切る。

焼く

  • 空焼きしたパイ生地に、玉ねぎ、じゃがいも、ニシン、チーズの順に重ねる。
  • アパレイユを静かに流し入れる。
  • オーブンを210℃に予熱し、200℃に下げて25~30分焼く。
  • 粗熱が取れたら型から外し、刻んだチャイブを散らしていただく。

ヒント

一般的なタルト生地は、冷たいバターを小麦粉に混ぜ込みますが、このレシピは逆転の発想。冷たくした小麦粉に、室温で柔らかくしたバターを混ぜ込んで作ります。バターを細かく刻む必要がなく、手軽に作れるのが魅力です。
生地をのばすとき、小さなバターの粒が少し見えているくらいでちょうどよい状態です。焼くとその粒が溶けて層を作り、サクッとした食感に仕上がります。

加熱すると酢の酸味がやわらぎ、ディルの香りとほどよい甘みが引き立って、とてもまろやかな味わいに。思っていた以上においしく仕上がりました。

「ニシンの酢漬け=そのまま食べるもの」という固定観念が少し変わりましたでしょうか。アクアビットジャパンさんの「ニシンマリネ ディルサワークリーム」は下記リンク先からお求めいただけます。

https://www.aquavitjapan.jp/shopdetail/000000001439

また、このパイを含めたアクアビットジャパンさんのレシピ本は秋ごろを目標に準備しています。お楽しみに!

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