私が愛用している北欧料理レシピ本の「肉料理」の一番最初にあるメニューは「Dillkött(ディルショット)」。子羊、あるいは子牛肉を煮込んでディルのソースをかけた料理です。なんとなく気になっていたものの、材料の子羊や子牛肉が手に入りにくいので見送っていたレシピ。
ある日、北欧料理の本を見た夫がこれが食べたいというので、子牛肉の代用について調べると、牛肉を使うよりも豚のヒレ肉の方が近いとあり、それなら手に入ると俄然作る気が出てきました。
ディルショットはいつから作られているのか分からないのですが、1755年の料理本に書かれているのが記録として一番古いそう。何百年も作られている古典的な料理ですが、今でも家庭料理として変わりなく愛されています。
そうはいっても時代と共に嗜好が変わり、味付けに酢と砂糖を使うのが伝統ですが、最近の人は酢の代わりにレモン汁にしたり、砂糖を入れなかったりと少しずつ変わってきているとか。
ですが、今回は伝統にのっとって酢と砂糖を使って味付けしました。お好みで変えてもいいですが、最初はこのまま作ってみて下さい。意外な美味しさに驚かれると思います。
ちなみに北欧の人は酸っぱい味だけでなく、甘い味付けも好きで、ヤンソンの誘惑に使うアンチョビも本場のものは甘い味が特徴です。
それでは、レシピです。ちなみにスウェーデンでは4人分で肉1キロなんてレシピもあるのですが、日本人サイズの少なめで、かつ2人分に減らしました。
ディルショット
材料
- 豚ヒレ肉 300g
- コンソメ 1個
- 水 1リットル
- 塩 小さじ1
- 人参 1本
- 玉ねぎ ½個
- 粒胡椒 5粒
- ローリエ 1枚
- ディル 1パック
- バター 大さじ1
- 小麦粉 大さじ1½
- 生クリーム 50cc
- 酢 大さじ1
- 砂糖 大さじ1
作り方
- 肉を2cm角に切る。人参と玉ねぎは皮を剥いて2cm角くらいに切る。
- ディルは葉と茎に分け、葉はみじん切りにする。
- 厚手の鍋に肉を入れ、水と塩を加え火にかけて沸騰させる。浮き上がった灰汁を丁寧に取る。
- 鍋に人参、玉ねぎ、粒胡椒、コンソメ、ローリエ、ディルの茎を入れて火を弱める。弱火で1時間煮る。
- 煮終わったらボウルにザルを乗せて鍋の中身をあけ、煮汁と具を分ける。煮汁を200ccとっておく(200ccに足りなければ水を足す)。鍋を洗ってコンロに戻す。
- 鍋にバターを入れ弱火にかけ、小麦粉を振り入れ焦げないように炒める。煮汁200ccを少しずつ加えてのばす。酢、砂糖、生クリームを加え塩・胡椒で味を調える。恐らく塩気は十分なので塩を入れなくていいと思います。
- 具を鍋に戻し5分ほど煮て、ディルの葉のみじん切りを加えて火を止める。
- 茹でたじゃが芋、あるいはご飯と一緒にどうぞ。付け合わせに茹でた野菜やお好みのサラダを添えてもいいです。
動画
ヒント
動画では間違えてうっかり生クリームよりも先にディルを入れています。味に違いはないのですが、ディルの色が悪くなるので、最後に加えるのをお勧めします。
1時間煮るので玉ねぎはとろけてしまい、いい感じのとろみが出ます。やや塩気が強いですが、じゃが芋やご飯と食べるにはちょうどいい塩梅でしょう。
クリームソースのような重さはなく、甘酸っぱさがさっぱりと美味しいです。うちではリピート確実。ぜひお試しください!