スウェーデンの牛肉のビール&ベリージュース煮込み Porterstek

10年くらい前にスウェーデンの取引先でこんな肉の煮込み料理をご馳走になりました。説明によると「牛肉をビールとサフトで柔らかく煮込んだもの」だそう。

サフトとはスウェーデンで古くから飲まれているベリーの濃縮ジュースで水で薄めて飲みます。市販もありますが家庭で作る人も珍しくはありません。この写真はスウェーデンの友人のお母さんが作ったものと、今年スウェーデンに行った時に現地のフードスタイリスト、サンナ・リードグレンさんの作った物。

ふとこの料理を思い出してどんなレシピなのか調べてみました。最初は何か似たようなレシピが見つかればいいな程度に考えていたのですが、実はスウェーデンの伝統的な肉料理「Porterstek(ポーターステーク)」といい、もともとはヘラジカを柔らかく煮て食べる料理だったのが今は安く硬い牛肉の部位を使う事が多いという、しっかりと背景のある伝統料理でした。

Porter(ポーター)とはイギリス由来の黒ビールの一種で、スウェーデンでは1800年代から作られています。料理に使って残った黒ビールを一緒に飲むのもいいですね。

ポーターステークのレシピに「酸味・甘味・塩味の混ざったいかにもスウェーデンの味」とあり大きく頷きました。北欧料理の味の特徴は酸味と甘み。その理由ついて大丸神戸のトークで解説したので、いつか改めてここでも書こうかな。

同じレシピ内に、多くの場合はカシスジャムが添えられるとありました。スウェーデンで食べた時も添えられていましたね。カシスジャムはレッドカラント(あかすぐり)を煮て作ったジャムの一種です。レッドカラントを煮て濾すと自然にゼリー状に固まります。下の写真はデンマークで購入したもの。日本で入手は難しいので省略しても良いでしょう。梅ジャムが近いらしいので、もしかしたら代用できるかも。

今回作るにあたって困ったのはサフトの入手。特にポーターステークにはカラント(カシス)のサフトが必要と。カラントのサフトに似た濃縮ジュースは探せば無い事も無いのですが、少ししか使わないのにわざわざ通販で買うまでもない。

以前ノンアルコールグロッグを作った時に使ったデルモンテのクランベリージュースにしようかなとも思ったのですが、もっと普通のスーパーで買えるものがいいかなと。

スーパーでジュースコーナーをウロウロしていて「野菜生活100」の北海道ベリーミックスを見つけました。期間限定が気になったけれど今回はこれを選択しました。

なお、代用としてポートワインやマデイラワインを倍量使うのを勧めているレシピがひとつありました。日本で手軽に手に入る似たワインにはサントリーの「赤玉スイート」があります。つまりは酸味よりも甘味が優先という事かな?

お好みのジュースでどうぞ。さて、一番手に入りにくい材料についての説明はここまでにしてレシピをご紹介。

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スウェーデンの牛肉のビール&ベリージュース煮

Porterstake
分量 4 人分

用意するもの

  • しっかりと蓋の出来る厚手の鍋

材料

  • 牛肉かたまり シチュー用 600g

煮汁

  • 黒ビール 200cc
  • 濃縮カシスジュース 90cc 代用についてヒント参照
  • しょう油 大さじ3
  • 固形スープの素 1個
  • 玉ねぎ 1/2個 みじん切り
  • ドライタイム 小さじ½
  • ジュニパーベリー 5粒 潰す
  • 粒黒こしょう 5粒

ソース

  • 生クリーム 大さじ4
  • 薄力粉 大さじ1.5

付け合わせ

  • にんじん、じゃがいも、いんげんなどの茹で野菜
  • (あれば)カシスジャム
  • (あれば)パセリ

作り方

  • 牛肉を形が崩れないようタコ糸で縛る。脂身が多い場合は切り取る。
  • 煮汁の材料を鍋に入れ火に掛ける。沸騰したら①の肉を入れ蓋をして弱火にする。
  • 45分煮たらひっくり返し更に45分煮る。合計で1時間30分煮る。
  • 肉が煮えたら取り出し、煮汁を濾す。煮汁の300ccを小鍋に入れる。
  • 煮汁を少し小皿にとり、薄力粉大さじ1.5を振り入れて溶かして鍋に戻し、火に掛けてかき混ぜながらとろみをつける。
  • 生クリームを加え、必要なら塩・こしょう(分量外)で味を調える。
  • 肉を薄く切り皿に盛り⑥のソースをかけて、茹で野菜を添える。食べるときに(あれば)カシスジャムを添える。彩りにパセリのみじん切りを振るときれい。

動画

ヒント

<濃縮カシスジュースの代用について>市販のミックスベリージュース、あるいはポートワイン(例:赤玉スイート)のような甘いワインをお使いいただけます。その場合は、倍量加えて下さい。今回は200ml入りのミックスベリージュースを全部入れました。ジュースの量に関してはあまり厳密でなくて良いです。
今回はバラ肉を使いましたが、すね肉など手に入りやすい部位でどうぞ。シチュー用の部位がどこか分からない場合はお肉屋さんで聞いて下さい。
スウェーデンの知人宅ではソースに生クリームを入れていませんでした。クラシックなレシピは生クリーム入りなのですがお好みでいいです。

古くから作られている料理のため、人によって好みが違い、より甘い方がいい人はベリージュースを多めに、塩気を好む場合はしょう油を多めにとスウェーデンのレシピにありました。ですので、分量についてはあまり神経質に考えなくてもいいです。しょう油が意外かも知れませんが、ミートボールのクリームソースに使う場合も多くスウェーデンの伝統の味に浸透しています。

煮るだけなので難しい手間はありません。1時間半煮るので、その間に他の料理も用意できますね。茹で野菜はお好みでOKですが、じゃがいもは必須。彩りに他に赤と緑の野菜があれば目に美しいです。

おっと。カラントジャムを添えるのを忘れていました。食べる前に思い出して良かった。写真を撮り直し。

休日のご馳走やおもてなし料理にお試しください。

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