ザリガニパーティーにも!スウェーデンのチーズパイ Ostpaj

いろいろあって8月にザリガニパーティーのための料理を担当することになりました。ザリガニだけでは足りないので、当日はミートボールやヤンソンの誘惑など定番のスウェーデン料理も出す予定。メニューは下記の通り。

・ザリガニ
・チーズパイ
・ミートボール
・ヤンソンの誘惑
・ニシンの酢漬け(アクアビットジャパン
・マッシュポテト(IKEAの冷凍品
・きゅうりの甘酢漬け
・生リンゴンベリージャム
・クネッケブロード(IKEA

市販品も利用しながら本場の物を使った本格的な味の料理も作ります。

例えばザリガニパーティーの定番であるチーズパイのためにスウェーデンでヴェステルボッテンチーズを買ってきました。チーズパイはスウェーデン語で「Ostpaj/オストパイ」。オストはチーズの意味ですから、まんまです。オストパイには、このスウェーデンのヴェステルボッテン地方で作られているヴェステルボッテンチーズを使うのが一番いいと言われています。

スウェーデンでは高いチーズになるのですが、450gで109クローネ(約1460円)は日本のナチュラルチーズと変わらない、むしろスーパーで売られている80gくらいの小さなナチュラルチーズよりも安いくらい。

チーズパイを作るのは10年ぶりくらいです。まずは思い出しながら練習してみました。練習には買ってきたヴェステルボッテンチーズは使えないので、日本で買ったチェダーとパルミジャーノをブレンドすることに。本当はピリッとした酸味と苦みのある熟成チーズの方が近いのですが、日本の人はマイルドな味を好むためか、探すとかなり高価なものしか見つからないので断念。日本でチーズを気軽に使うのは障壁が多いですね。

チーズパイの生地は小麦粉に冷やしたバターを切り入れ、サラサラとしたパン粉状にしてから水分を加える「サブラージュ法」で作ります。例えばこのフィンランドのほうれん草パイはサブラージュ法です。

パーティーの参加者は全部で24人。スウェーデンのオストパイの大きさは直径24cmから26cmですが、切り分けやすさや作りやすさから18cmを8台作ることにしました(100均で使い捨てのアルミホイル製を入手)。

8台分のパイを一人で作るシュミレーションを頭の中でやってみました。どうも生地をサブラージュ法で作るのは上手く出来る気がしません。ヨーロッパと違い例え冷房をかけていても暑く湿度の高い日本の夏にバター生地を作るのは毎回思った通りに行かないので避けているくらいですし。

調べると沢山の量を作る洋菓子店ではクレメ法で作るとか。クレメ法とはあらかじめ柔らかくしたバターに小麦粉を混ぜて生地を作る方法。例えばこのフィンランドのブルーベリーパイの生地はクレメ法で作っています。

でも出来ればオリジナルレシピの通りサブラージュ法で生地を作りたい。何かいい方法はないかしらと思っていたところ、たまたま読んだ製菓の本に面白い方法がありました。

冷凍庫でキンキンに冷やした小麦粉に室温で柔らかくしたバターを加え、泡だて器で混ぜるとバターが小麦粉の冷たさで一気に固まりサブラージュと同じ生地になるとか。これなら沢山作るのに向いていそうです。早速実験で1台焼いてみると、うまく出来たので感動しました。焼くときにアルミホイルを型にしっかりと敷くことで重石を使わないのも魅力的。

では、作り方です。

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スウェーデンのチーズパイ

Ostpaj
分量 4 人分

用意するもの

  • 直径18cmのタルト型

材料

生地

  • 薄力粉 45g
  • 強力粉 25g
  • バター(有塩) 50g
  • 冷水 大さじ1
  • ウォッカ または 酢 小さじ1

フィリング

  • ナチュラルチーズ 110~120g 種類についてはヒント参照
  • 卵 1個
  • 牛乳 80cc
  • 生クリーム 30cc(大さじ2)
  • こしょう 少々

作り方

生地

  • 大き目のボウルで強力粉を薄力粉を混ぜ冷凍庫で1時間くらい冷やす。その間にバターを室温に戻しておく。
  • 冷凍庫で冷やした①に柔らかくしたバターを入れ、泡だて器で一気に混ぜる。全体が混ざったら手の熱でバターがとけないよう手早く手の平で擦り合わせパン粉のようなサラサラした状態にする。
  • 冷水とウォッカ(酢)を加え手でボウルの底に押し付けるようにひとまとめにする(捏ねない)。丸めてラップに包み手の平で平たい丸に形を整えて冷蔵庫で2時間以上冷やす。
  • 生地が冷えたら打ち粉をしながら麺棒で直径21cmくらいにのばす。型に生地を入れ隙間のないように型の内側にしっかりと貼り付けながら広げる。型からはみ出した部分は内側に折ったり足りないところに足したりする。仕上がりはラフになるが生地を捨てなくてすむ。きれいに仕上げたい場合は型の縁に合わせてはみ出た部分を切り取る。
  • 生地を型ごと冷蔵庫に入れ30分以上冷やす。冷えて生地が硬くなったら冷蔵庫から出し底全体にフォークで穴を空ける。
  • 型より一回り大きく切ったアルミホイルにサラダ油(分量外)を薄く塗り、薄力粉を薄くまぶす。薄力粉のついた面を型に乗せ、型全体を端までしっかりと包む。こうする事で焼いている間に生地が型崩れするのを防ぐ。
  • 200℃に予熱したオーブンで10分空焼きする。アルミホイルを外し、更に5分焼く。焼き上がったら冷ましておく。

フィリングを作る

  • 必要ならチーズをチーズおろしで擦り下ろすか小さく切る。卵、牛乳、生クリーム、こしょうを混ぜ合わせた卵液を作る。
  • 冷めた型にチーズを入れる。その上に卵液を流し入れる。全部入らないなら無理して入れなくてもよい。
  • 200℃に予熱したオーブンで30分焼く。冷めたら切り分ける。焼いた当日より、1日寝かした方が美味しい。

動画

ヒント

<チーズの種類>少し苦みのあるピリッとした熟成したハードチーズが理想ですが、手に入りづらいと思います(日本の人はあまり好まない味なので)。パルメザンチーズやチェダーチーズ、あるいは市販の細切りされたナチュラルチーズミックスでもよいです。
生地は扱いやすくするために強力粉を入れましたが、薄力粉だけでもよいです。
卵液に生クリームを使わずに牛乳だけでもよいです。

生地に含まれているバター粒の力で生地はサクサクになり、フィリングはしっとりです。そのままでも美味しいですし、写真のように小葱をかけたり、サワークリームや魚卵を添えてもいいです。何もつけなくても、このパイとサラダだけで食事になります。

実はこの写真のパイは試作2回目。1回目の時に少し焼きすぎたかなと思ったので控え目にしたのですが、1回目くらいしっかり焼いた方が美味しかった。この写真が1回目。

なので、レシピはこの時作ったパイよりも焼き時間を長めに書いています。焼き上がりがサンプルの写真よりも焼き目が濃くなっても心配しないで。

4人分としていますが、フィンガーフードにすれば8人分くらいかな。お皿に乗せているのは1/8サイズ。

もともとのスウェーデンサイズ(Φ24~26cm)をΦ18cmにするにあたり、やや配合を変えています。スウェーデンサイズの分量を下に書きましたので、大きく作る場合はこれを参考にしてください。意外なことに100均では直径24cmのタルト型も販売していましたし。

<生地>
小麦粉 180g、塩 小さじ1/2、バター 125g、冷水 大さじ2、ウォッカ または 酢 小さじ2
<フィリング>
卵 3個、牛乳 200cc、生クリーム 100cc、こしょう少々、塩ひとつまみ、チーズ300g

このレシピも牛乳だけ300cc、牛乳と生クリームを半々(150cc+150cc)にする、といった変更もできます。都合に合わせてどうぞ。

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