基本の北欧菓子パン生地の作り方

この写真はフィンランドとスウェーデンで食べた菓子パンの一部です。『菓子パン』と書きましたが、パンというよりも『発酵菓子』の一種で、日本の人が想像するパンよりも生地が詰まったやや硬めの食感です。

形もフィリングも大きさも様々で、中には揚げているものもありますが、実は同じカルダモンの入った甘い生地から生まれています。この生地で作ったパンをフィンランド語ではPulla(プッラ)といい、形やフィリングによって〇〇プッラとかプッラ〇〇と変わります。スウェーデン語ではBulle(ブッレ)で、同じように〇〇ブッレとフィリングによって名前が変わります(複数形はBullar/ブッラール)。ただ、フィンランド語と違って、ブッレは小さなパンを指し、大きい一塊になれば別の呼び方になります(例えば長い形は〇〇längd)。

というわけで、この生地さえ覚えれば様々なフィンランドとスウェーデンの菓子パンに応用できます。もちろん北欧と言えば…のシナモンロールもこの生地。実は今まで作っていたシナモンロール(このサイトでもご紹介している)は当時使っていたホームベーカリーに合わせたため、粉が280gという中途半端な分量になっています。ところが最近はホームベーカリーは食パン専用で菓子パンは手で捏ねるようになったし、そもそも別の機種に買い換えて分量は違っているしなので、レシピを見直すことにしました。

作りやすく覚えやすい分量に

分量を見直すにあたって改めて現地レシピを5つぐらい比較検討し、日本の家庭でも作りやすいように1/3量くらいに減らし、かつ覚え易い切りのいい数字にしました。あえて2で割り切れる数字にしたので、更に半分の少量で作ることもできます。

お好みは卵入り?卵なし?

フィンランドもスウェーデンも基本的には同じ生地なのですが、フィンランドは生地に卵を入れるのに対して、スウェーデンは入れない場合が多いです(当社調べ)。私は最初にフィンランド人に教わったので卵を入れていましたが、卵を入れると風味がよくなる半面、翌日以降生地が少し硬くなってしまいます。なので最近はもっぱらスウェーデン流。

今回は卵入りと卵なしの二つのレシピを、実験のため全く同じ条件で作ってみました。食べ比べてみると、焼いたその日はほとんど差を感じないのですが、翌日は若干卵入りが硬くなる感じ。まあ気になる程度ではないで、どうせ表面に卵塗るなら生地に入れるのもアリです。

生地は柔らかめで甘さ控えめ

さて、最初に《パンというより発酵菓子》なので《やや硬めの食感》と書きました。こちらのレシピでは現地よりも水分を少し多くして現地より柔らかめにしています(それでも少し硬めですが)。こちらの方がお好きな方は多いんじゃないかな。

以前はできるだけ現地の味に近づけることを考えていましたが、最近は風土文化も違うんだし、そんなに頑張らんでもいいやん、という気持ちになってきています。もし現地風がお好みなら牛乳の量を20cc減らしてください。逆に砂糖の量は10gくらい減らしています。それでも日本の人には十分甘いとは思います。

最初から北欧風を狙って水分減らしの、砂糖増しで作ってもいいですし、一度このレシピで作ってみて、お好みの味に調整するのもアリですよ。

それではレシピです。

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基本の生地で作るカルダモンパン

分量 12 ~10個分

材料

卵なしの場合

  • 牛乳 200cc

卵ありの場合

  • 牛乳 180cc
  • 卵液 20g

共通の材料

  • インスタントドライイースト 4g
  • 砂糖 40g
  • 塩 小さじ½
  • 粗挽きカルダモン 小さじ1~2
  • 強力粉 200g
  • 薄力粉 100g
  • バター(マーガリン) 50g

作り方

  • ボウルに牛乳を40℃くらいに温めイーストを入れて泡立てでかき混ぜる。
  • 砂糖、塩、カルダモン、卵入りの場合は卵液を順に入れてかき混ぜる。
  • 薄力粉と強力粉を⅓くらいずつ加え泡立てでかき混ぜる。泡立てが重くなったら手に替えて捏ねる。全体が馴染んだらバター、あるいはマーガリンを加えて捏ねる。
  • ある程度生地がまとまったら台の上にあけて15分くらいしっかりと捏ねる。
  • ボウルに捏ねあがった生地を戻しラップなどで覆い、オーブンの発酵モード、あるいは暖かい場所で40分程度、あるいは2倍くらいになるまで発酵させる。
  • 発酵した生地を50gなら12個、60gなら10個に分割し、生地の表面を張るように丸める。クッキングシートを敷いた天板の上に並べ、乾いた布をかぶせてオーブンの発酵モード、あるいは暖かい場所で40分程度、あるいは2倍くらいになるまで発酵させる。
  • 発酵したら220℃に予熱したオーブンで10分焼く。艶出しに表面に卵液を塗ってもいい。焼きあがったらラックに乗せ、冷めるまで乾いた布をかぶせる。

ヒント

この生地を使って、シナモンロール、カルダモンロール、レーズンパン、ラハカプッラなど、様々な北欧のパンが作れます。
粗挽きカルダモンはカルダモンを包丁で細かく刻むか、ペッパーミルで挽いて下さい。

北欧のレシピではほとんどの場合、250℃(コンベクションなら220℃)で8分焼くとあるのですが、実際やってみると焼き目が強くつきすぎて焦げる寸前になってしまいました。高温で短時間なのは、もともと水分が少ないレシピなので蒸発しすぎてパサパサになるのを防ぐためかも知れません。

ただ焦げては元も子もないので、若干温度を下げ、少し焼き時間を長くしました。ただオーブンによって癖があるので、何回か作って良いところを見つけてもらえればと思います。

これは12個に分けたサイズです。おやつにちょうどいい。

ほんのり甘く、つぶつぶカルダモンの風味が美味しいパンです。おやつや軽食にどうぞ。

以前アップした下記のレシピに使えます。各レシピの生地の分量はこのレシピとは異なりますが、この生地の分量を使ってフィリングの量はそのままで大丈夫!

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基本の北欧菓子パン生地の作り方」への4件のフィードバック

  1. いつも楽しみに拝読しています。こどもの頃にイギリスやドイツに住んでいたことがあるのですが北欧にはまだご縁がなく、いつか行ってみたいなと心くすぐられます。感想を延々と語りにお邪魔するのは次の機会にするとして、今日は本文で気づいた点がありまして、作り方の6番で「キッチンペーパーを敷いた天板」とあるのは「クッキングシート」「オーブンシート」のことかなと思います。念のためお知らせします。キッチンペーパーでファイヤーすると危ないので(笑)

    1. ややや!!本当ですね!危うく事故を誘発するところでした!!
      すぐに訂正いたします。ご指摘ありがとうございました。

  2. こんにちは。焼きましたー!
    スーパーにはカルダモンパウダーしかなかったので、本来あるべき仕上がりではないと思いますが、甘酸っぱい爽やかな香りがたまらない。いい香りですねえ、カルダモン。毎日焼いてしまいそうです。
    しかし上のお写真の断面はきめ細やかなのに、私の焼いたパンはただのふかふかパンでした・・・本当はもう少し密というか、しっかりしたパンのはずなのかな?

    1. 作ってくださってありがとうございます!北欧は目の詰まったパンを好むのですが、このレシピではもう少しふっくらするようにしています。パンはちょっとしたことで出来上がりに差ができるから、ふかふかでもOKですよ!

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