キャラメルのように香ばしいフィンランドのデーツケーキ『ターテリカック/Taatelikakku』

最近近所のスーパーでデーツを見るようになり気になっていました。デーツとは中東や北アフリカに生息するナツメヤシの実を乾燥させたもの。今まで中東系のレストランで珍味として口にしたことしかなく、高級食品のイメージがあったので、なぜこんな店にと不思議に思っていたのです。

ただ、そのスーパーでは通常扱っていないような商品がたまに並んで消えることがあり、例えば一時パッサータが箱で置かれセールをしていたことがありました。パッサータとはトマトソースの一種で、欧米ではレシピに頻繁に登場する身近な食材なのですが、日本では一部の輸入食品店で見かける程度。これはきっと大人の事情があるのだろうと勝手に想像していたのです。

ですので、このデーツも今だけ置かれているのだと横目で見ていただけ。ところが数か月前に詳しい人から、ソースで有名なオタフクが商品化し、今はスーパーの常備品になっているんだと教わり心底ビックリ。なんでもオタフクでは1975年からお好みソースにデーツを使っていたのだとか。価格も結構リーズナブル。時代は変わっていたのだなあ…。

デーツと北欧はイメージがつながらないのですが、実はフィンランドでデーツを使ったケーキ『ターテリカック』はクリスマスの定番料理。60年代には登場していたようですが、いったいいつ頃から何をきっかけにクリスマスに作られるようになったのか正確なところはさっぱり分からず。ただクリスマスに南国のスパイスを使うのと同様、寒い国の人にとってデーツは高価な食材として珍重され、ご馳走として作られていたのは想像できます。特別な日の贅沢なお菓子ポジション。

デーツがいつも手に入るなら、ターテリカックを作ろうと思い立ってから早幾月。やっと買ってきたのでフィンランドのレシピを調べるも量が多すぎる。そこで半分量にアレンジ。フィンランドでターテリカックはクグロフ型で焼くのが一般的なので、私もリング型で作りましたが、もちろん普通のパウンド型や丸い型でも作っていただけます。

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フィンランドのデーツケーキ『ターテリカック』

用意するもの

  • 750㏄くらいの容量の焼き型

材料

  • 水 150㏄
  • デーツ 100g
  • 砂糖 60g
  • バターまたはマーガリン 100g
  • 卵 1個
  • 冷めた濃いコーヒー 50㏄ インスタントコーヒーでOK
  • バニラエッセンス 適量
  • 薄力粉 120g
  • ベーキングパウダー 小さじ½
  • ベーキングソーダ(重曹) 小さじ½

作り方

  • 焼き型にバターまたはマーガリンを塗り小麦粉を薄くはたいておく。(分量外)
  • 鍋に水をデーツと砂糖を入れて火にかけ、デーツが柔らかくなるまで茹でる。ハンドブレンダー、あるいはフードプロセッサーにかけてピューレにする。
  • デーツのピューレが温かいうちにバター(マーガリン)を入れて溶かす。コーヒー、卵、バニラエッセンスを加えて混ぜる。
  • 薄力粉、ベーキングパウダー、ベーキングソーダを振るい入れてゴムベラでさっくりと混ぜる。
  • 型に生地を流し入れ、180℃に予熱したオーブンで45分焼く。竹串などを刺して生地が付いてこなければ焼き上がり。
  • 型のまま冷まし、冷めたら型から出し、上に粉砂糖を振って飾る。

動画

ヒント

フィンランドではターテリカックをクグロフ型で作りますが、パウンドケーキ型や丸いケーキ型を使ってもいいです。

しっとりとした食感とキャラメルや黒糖を思わせるデーツの風味が美味しいケーキです。作ったその日より数日後の方が美味しくなっていますので、おもてなしならば、予定の数日前に焼いておくのがお勧め。

ところで、なぜ一般的にクグロフ型を使うのか良く分かりませんでした。クリスマスの大人数用に大きく作るので、クグロフの方が火の通りが良いからとか、模様が付いていて切り分けやすいからとか理由があるのでしょう。ちなみに下の写真の左側がフィンランドで知り合いにもらった北欧サイズのクグロフ型。おおよそ1.5リットルの容量です。右側が北欧のレシピを半分で作るために日本で買った、約750ccのクグロフ型です。

ターテリカックに限らず、フィンランドでもスウェーデンでもなぜかケーキはクグロフ型を使うことが多いです。理由を調べたのですが、これもデーツの伝来と同じく分かりませんでした。ただ色々調べていると1927年発行のスウェーデンのレシピにクグロフ型のケーキが登場しているので、100年前くらいからクグロフ型が使われているみたい。結局北欧とクグロフ型の関係が分からないまま調査はギブアップ。

アメリカでクグロフ型大ヒットの裏に北欧あり

北欧とクグロフ型について調べる過程で面白い話が見つかりました。

アメリカのミネソタ州に本拠を置く調理・製菓器具専門メーカー『Nordic Ware/ノルディックウェア』をご存じでしょうか。ノルディックウェアは1946年に北欧系アメリカ人であるヘンリー=デイビッド・ダルキストが妻や兄弟たちと設立したファミリー企業です。デイビッドは3/4スウェーデン人で1/4ノルウェー人、妻のドロシーは100%デンマーク人とゴリゴリの北欧ですので、当然スタートはスウェーデンのロゼットクッキー、ノルウェーのクルムカカ、デンマークのエーブルスキーヴァ 、北欧の平たいパンケーキ用の調理器具などを製造販売していました。

1940年代後半のある日、ユダヤ系アメリカ人の協会がクグロフで作るドイツ伝統菓子の型を製造してくれないかと依頼がありました。デイビッドは既存の鋳物の重い型の代わりに、軽いアルミニウムで製造し、それをBundt Pan(バントパン)と命名。ところがバントパンの売れ行きは大変に悪く、もう生産終了してしまおうかという矢先の1966年にある料理コンテストでバントパンを使ったケーキが入賞。直後20万件を超える注文が入り、大ヒット商品へと華麗なる変身。バントパンはノルディックウェアを代表する製品となり、今ではクグロフ型で作ったケーキはアメリカではバントケーキと称されるまでになったそう。

デイビッドたちがバントパンを考えたとき、もしかしたら昔から作られている北欧のケーキが頭にあったのかも知れませんね。そんなノルディックウェアのバントパンはこちら。

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バントパンを使うレシピ本もありました。

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デーツはオタフクさんのお陰で、本当に気軽に手に入るようになっていました。知らなかったなあ。オタフクさんの通販もありますがスーパーの方がリーズナブルかも。

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混ぜて焼くだけと簡単ですので、是非お試しくださいね。

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