実家にあった使いこんでボロボロになったレシピ本『飯田深雪の洋風おかず』発行年は昭和44年(1969年)。西洋料理にあまり馴染みのない時代だったのでしょう。レシピだけでなく、テーブルセッティングや食器、カトラリーについて、西洋料理のマナーについても書かれ、更に当時は珍しかったオーブンを使う方法も詳しく書いてあります。
飯田深雪さんは明治36年(1903年)生まれ。戦前に外交官の夫について世界各国で暮らした経験があり、どうも北欧にもお住まいになっていたようです。アメリカやフランスなど大国のレシピだけでなく、スウェーデン、デンマーク、フィンランドのレシピが見つかり驚きました。(写真には、恐らく私物の、北欧の食器が使われているものもあります。)
中でもフィンランド料理が珍しかったので、「フィンランド風豚肉のソテー」を作ってみました。
作る前にフィンランド在住の知人に、オリジナルはなんだと思う?と尋ねると「Sianlihakastike(シアンリハカスティケ)だと思う」と。そして「フィンランドはスープストック使わないけれど」と付け加えられて笑いました。フィンランドはスープでもコンソメ使わないレシピがあり、そのまま作ると「出汁が足りない…」と感じてしまう、うまみ文化日本で育った私なのです。おだしの国の人だもの。
フィンランド風豚肉のソテー
材料
- 豚もも肉薄切り 350g
- 塩・こしょう 各適量
- 玉ねぎ 2個
- サラダオイル 大さじ3
- 小麦粉 大さじ 1½
- 牛乳 200cc
- スープストック (固形チキンスープ 1/2個 + 水100cc)
- 塩・こしょう 各適量
- 化学調味料 少々
作り方
- 豚肉は薄切りを三つくらいに切り、塩・こしょうしておく。玉ねぎは薄切り。
- 厚手のなべにサラダオイルを熱し、豚肉を色よくいため、玉ねぎも加え、ともに色づくまでいためて皿にとり、冷めないようにしておく。
- あとのなべに小麦粉を入れて茶色にいため、牛乳とスープストックを加えてのばし、塩・こしょう・化学調味料で味をととのえ、1分間なべをかきまぜながら煮て、肉の上にかける(ソースに肉を戻し入れて煮てもよい)。
動画
ヒント
Sianlihakastikeとは直訳で“豚肉ソース”。その名の通り、マッシュポテトや茹でじゃが芋にソースとしてかけて食べます。飯田さんがどのように食べるシーンを想定していたのか分かりませんが、フィンランドに倣ってマッシュポテトを添えました。
また、フィンランドではキュウリの甘酢漬けを添える場合が多いらしいので、同じく『飯田深雪の洋風おかず』から、デンマーク料理「きゅうりの酒酢漬け」を添えました。きゅうりの酒酢漬けのレシピは別途書きましたので、そちらをご覧ください。
どこか懐かしい味の美味しい洋風おかずでした。基本的には難しくないお料理とはいえ、小麦粉を茶色くなるまで炒めるのがめちゃくちゃ時間がかかりました。今は電子レンジを使って簡単に作る方法もあるようですが、50年前の気持ちを味わうがため、きちんと手順を踏んで作ってみました。
さて、Sianlihakastike(シアンリハカスティケ)の名前を教えてくれた知人によると、コンソメだけでなく、牛乳も入らないと言っていました。ただ調べてみると生クリームを使うレシピはあるよう。もしかしたら、もともとのレシピは生クリームのところ、50年前でも手に入りやすかった牛乳に変えたのかもと想像してみています。
コメント2度目です!
ミートボールのカレー、定番になりました!
飯田深雪さんのレシピ本「NHK 洋風きょうの料理」がうちの母の料理本だったので、母の味なんです、実は。この本にもIKEA風のミートボールやピクルスなど載っています。
どうしても本が欲しくてYahooの中古で買いました。母にはそのまま本を持っていてもらい。
是非機会が有ればこのレシピ本も見てくださいね!
そうなんですね!『洋風おかず』のページをめくると、母が作っていたものがいくつもあって、私も飯田美雪さんが母の味かも知れません(祖母は西洋料理を作らなかったので)。
お勧めいただいた本、さっそく探してみます。教えて頂いてありがとうございます。
1970年に出されているもので、かなり古いんですが(当時1000円)、ワインを「ぶどう酒」と記載されていたり何だか感動ものです
ハンバーグ、ババロア、グラタンなど母の味はこの本からです。
「北欧風野菜の酢づけ」、「スェーデン風肉だんご」、「スェーデン風ひき肉料理(ステーキレット)」「北欧風きゅうりのサラダ(フィンランド)」などyokoさんが気になるレシピもあります
アマゾンの中古で買って高いんですが、一生ものです!
確かに面白そうですね!