スウェーデンの伝統的な家庭料理カロップス/Kalops。料理本に掲載された一番古い記録は1755年と言うのですから、数百年前から作られている料理です。牛肉と野菜を煮込んだ、いわゆるビーフシチューですが、デミグラスやトマトピューレを使わないので、白っぽい色に出来上がります。一緒に煮込むのは玉ねぎとにんじんだけですが、玉ねぎは煮溶けて見えなくなります。
じゃが芋は別茹でにし、酢漬けのビーツを添えるのがお決まりです。味付けはシンプルですが、オールスパイスを使っているのがスウェーデンらしいところでしょうか。オールスパイスはミートボールにも使われ、スウェーデンらしい味の決め手になります。今回は現地レシピに従って、ホールのオールスパイスを使いましたが、ホールを見つけるのは一苦労かも(私は輸入食品のお店を数店舗周ってやっと見つけました)。なので無ければパウダーで代用してもいいです。
材料さえ揃えば難しいところはなく、たっぷりとじゃが芋を添えて夕食の一品となります。ゆっくりしたい日の食事にいかがでしょうか。
それではレシピをどうぞ。
カロップス
用意するもの
- 厚手の鍋
材料
- シチュー用牛肉 600g
- バター 大さじ1
- 玉ねぎ 1個(150g)
- にんじん 1本(100g)
- 塩 小さじ½
- オールスパイス 5粒 なければパウダー
- 白胡椒 3粒 なければパウダー
- 月桂樹の葉 1枚
- 水 300cc
- 固形スープの素 1個
- 薄力粉 大さじ1
付け合わせ
- 酢漬けビーツスライス 適量
- じゃが芋 適量
- 飾り用にパセリ適量
作り方
- 牛肉、玉ねぎ、にんじんは3cm角に切る。
- 鍋にバターを熱し牛肉の両面に焼き目を付ける。
- 水、玉ねぎ、オールスパイス粒、白胡椒粒、月桂樹の葉、塩、固形スープの素を加え蓋をして弱火で45分煮る。にんじんを加えて更に15分、あるいはにんじんが柔らかくなるまで煮る。
- 煮込んでいる間に付け合わせのじゃが芋を茹でる。じゃが芋は皮を剥き、食べやすい大きさに切る。鍋にじゃが芋と水を入れて火を点け、フツフツしてきたら弱火にしてすっと串が通るまで20分くらい茹でる(グラグラさせない)。
- 味見をして必要なら塩・こしょうで味を調える。薄力粉を水で溶いて加え、3~5分煮てとろみをつける。
- 器に盛り、酢漬けのビーツとじゃが芋を添える。パセリのみじん切りを振りかける。
動画
Wikipediaによるとフィンランドにも同じ料理があるそうです。もしかしたらカレリアシチューの事かな。カレリアシチューは牛肉だけでなく豚肉(古くは内臓も)も使う点や、オーブンで焼き煮して作るという違いはありますが、基本的にはほぼほぼ同じ。レシピは下記リンク先からどうぞ。
ところで、実はスウェーデン大使館で開催した『北欧のおやつとごはん』のレセプションでシェフが作ったのもカロップスでした。
シェフのカロップスは、牛肉(部位は忘れた!!)の大きな塊を前日に4時間煮込んで用意し、ソースは別に作っていました。ソースをホイップしてあるのがやっぱり家庭料理とは違う。仕上げには酢漬けビーツでなく、スライスしたホースラディッシュを味のアクセントにしています。
シェフによると大人数の料理と家庭の料理では作り方を変えなければいけないと。「例えばホワイトソースって冷たい牛乳を少しずつ加えるって習ったでしょう?でも大量に作るときは温度がなかなか上がらないから温めた牛乳を入れるんだよ」と例を出して教えてくれました。
具とソースを別に仕込んでいるのは、器に盛り付けた時の見かけはもちろんですが、大人数に対応するためなのでしょう。大鍋で一度に煮込んだシチューの具を40人分に均等に分けるのは至難の業ですものね。
ホースラディッシュはバリエーションとして真似してみようかなと思ったのですが、近所のスーパーには無かった!いつか見つかったらやってみようかな。
それでは、また次回、何か北欧料理で!
みじん切りしたパセリがタッパーで常備してあるのも頻繁に大量に作る現場ならではだなあと思いました。