12月6日はフィンランドの独立記念日です。フィンランドがロシアから独立したのは1917年と最近のこと。フィンランドは12世紀からスウェーデンが、19世紀からロシアに支配されていて、その前は村があちこちにある感じで国として成り立ってはいなかったそうなので、意外なことにほんの100年ほど前にできた比較的新しい国です。
そんなに長く他国に支配されていたのにフィンランド語が残っているのが不思議で、例えばアイルランドは英国の支配が長く、今やゲール語を話す人はほとんどいず、英語が通用語となっているのに。いつかそれについて理由を知りたい。
閑話休題
フィンランドの家庭では独立記念日には国旗の色である青と白に分けられたキャンドルを窓際に2本飾るのが習慣となっています。祝日なのでホームパーティーをする人もいます。フィンランドのレシピサイトで「独立記念日の料理」と調べるとカレリアシチュー、フィンランド語でKarjalanpaisti(カルヤランパイスティ)が勧められているケースが多いのに気が付きました。
カレリアシチューのカレリアはロシアとの国境にあるカレリア地方のこと。 政治的に重要な地域であるために中世からスウェーデンとロシアの戦いの場でした。フィンランド独立にあたって一旦はロシアから奪い返しましたが、その20年後の冬戦争で再びロシアに割譲されてしまいます。そのためカレリア地方はフィンランド人の精神的な故郷と呼ばれています。
カレリアシチューはお祝いの席で良く作られるとフィンランド人に教えてもらいましたが、それだけでなく、もしかしたら独立にまつわる感情的な理由もあるのかな、と深読みしてみたりして。
作り方は材料を切って水と一緒に鍋に入れてオーブンにかけるだけでほとんど手間がかかりません。オーブンで長時間かけて焼き煮することでお肉はホロホロと柔らかく煮あがります。そのお肉と、肉と野菜から旨味の出たさらっとしたスープをマッシュポテトと絡めながら食べるとしみじみ美味しい。特別な材料を使わない、いかにもフィンランドらしい料理です。
ところでカレリアシチューは数種類の肉を混ぜ合わせるのが伝統の作り方で、歴史をさかのぼると内臓肉も使っていたそう。現代は主に豚肉と牛肉だけで作ることが多く、実際フィンランドではあらかじめ切った豚と牛を合わせた「カレリアシチュー用パック」がスーパーで簡単に手に入ります。そのカレリアシチューパックの説明に美味しい配分は豚60%牛40%と書いてありました。私は今まで牛豚を半分ずつにしていましたが、そうなのかと思って今回は分量を6:4にしています。まあ、そこら辺は厳密にしなくても大丈夫ですよ。
それではレシピです。
カレリアシチュー
用意するもの
- オーブンで使える鍋かキャセロール
材料
- 豚肉 400g
- 牛肉 200g
- 玉ねぎ(小)2個
- ニンジン 1本
- お湯 500cc
- 塩 小さじ1
- 粒黒コショウ 5粒
- 月桂樹の葉 1枚
- オールスパイス(オプション)
作り方
- 肉を3~4cm角に切り、塩コショウ(分量外)する。野菜も同様に4cm角くらいに切る。
- 肉と野菜をオーブン用のふた付き鍋(※)に入れ、湯を全体が隠れるまで注ぐ。月桂樹の葉を入れる。分量の塩と粒黒コショウを加える。
- ふたをしないで220℃に予熱したオーブンに入れ30分焼いて焼き目をつける。
- ふたをして170℃のオーブンで2時間から3時間加熱する。その間、肉や野菜が乾燥しないよう、時々上下を返す。水が減りすぎているようならヒタヒタくらいまで足す。肉が柔らかくなっていたら完成。
- マッシュポテトを添えてどうぞ。
動画
ヒント
日本ではシチューと訳されていますが、出来上がりはさらっとした具の多いスープのような感じです。
今回は付け合わせにキュウリの甘酢漬けも添えました。甘酢漬けのレシピは下記からどうぞ。
カレシアンシチューは家庭によって様々な作り方があり、ふたをする人もしない人も、もっと低い温度でじっくり火を通す人も、鍋に入れる前にフライパンで焼き目をつける人もいれば、野菜の切り方のそれぞれにこだわりがあるようです。
これは私がフィンランドの人に教わったレシピを少しアレンジしたもの。正解はないので、作ってみて、好みの方法にアレンジして、家庭の味にしていくのもいいですよ。
もし、オーブンがなければ、先に肉に焼き目をつけてから、材料を火にかけてコトコト煮てみてください。そうやって作ったことはないですが、同じようにできるハズ。多分。