スウェーデンのヤンソンの誘惑 Janssons frestelse

日本で最も知られているスウェーデン料理の代表と言えば、ヤンソンの誘惑かも知れません。材料を重ねて生クリームをかけて焼くだけという手軽さも人気の理由なのかな。

ただ日本で作られているヤンソンの誘惑は、実はほとんどの場合は本場の味とは全く違います。というのも味の決め手になる、と言うか味の全てを決定しているアンチョビが、北欧のものと日本のレシピで使われているイタリアンアンチョビと全く違うものだから。

これがスウェーデンのアンチョビ。イタリアンアンチョビよりも生っぽく、塩辛いだけでなく、甘味があり、スパイスの複雑な香りが特徴です。

ちなみにこの写真はWikipediaと同じだけどクレジットが付いていないのは、Wikipediaの写真は私が提供したものだから。もっと言うと、ヤンソンの誘惑の記事は私が書いて、スウェーデン洋菓子店リッラ・カッテンさんが校正したから。

閑話休題。

そこで、スウェーデンのアンチョビに近づけるべくイタリアンアンチョビを漬け汁につけてみました。参考にしたのはスウェーデンのレシピ。魚1.5キロにカルダモン、シナモン、クローブ、ナツメグ、オレガノ、サンダルウッド、コショウ、水、ビネガー、塩、砂糖で作った漬け汁。

ただ、魚1.5キロ当たりのスパイスを缶詰サイズのアンチョビに置き換えるのは相当困難。そこで、オールスパイスをメインに、少し他のスパイスを混ぜるレシピに変更しました。

全く同じではないのですが(そもそもキーとなるサンダルウッドが手に入らない)、そこそこ近づいたのでレシピをご紹介しますね。

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ヤンソンの誘惑用のアンチョビ

分量 4 人分用

材料

  • イタリアンアンチョビ 2缶(固形量60gくらい)

漬け汁

  • オールスパイス 小さじ½
  • コショウ ひとつまみ
  • ジンジャーパウダー ひとつまみ
  • オレガノ ひとつまみ
  • 水 大さじ3
  • ビネガー 大さじ1.5
  • 砂糖 大さじ1.5

作り方

  • 漬け汁の材料を小鍋に入れ火にかけ、砂糖が溶けるまで温める。
  • アンチョビの油を切って器に入れ、漬け汁をかけて1晩置く。

ヒント

スパイスは全て揃わなければオールスパイスだけで良い。
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ヤンソンの誘惑

分量 4 人分

用意するもの

  • 直径30cmくらい、あるいは25cm角くらいの浅いオーブンディッシュ

材料

  • じゃが芋 600~700g
  • 玉ねぎ 1個
  • あらかじめ漬け汁に漬けておいたアンチョビ
  • 牛乳 100cc
  • 生クリーム 200cc
  • バター 50g
  • パン粉 大さじ1 (イタリアンパン粉、あるいはドライパン粉をフードプロセッサーで細かくする)

作り方

  • 玉ねぎは繊維に直角に薄切り、じゃが芋は千切りカッターかチーズおろしでマッチ棒くらいの細さに切る。
  • オーブン用の器にバター(分量外)を塗り、じゃが芋の半量、玉ねぎの全量を重ねる。
  • アンチョビを均等に乗せ、漬け汁を全体にかける。残りのじゃが芋の半量で覆う。
  • 最後に生クリームと牛乳を全体にかけ、パン粉を振る。上に小さく切ったバターを乗せる。
  • 200℃から220℃に予熱したオーブンで30分から45分焼く。途中で水分が少なすぎるようなら牛乳を足す。

動画

ヒント

深い器に厚く作らず、浅いお皿に薄く作ります。ちょうどいい器がなければ、オーブン用の角皿に直接作っても良いです。
スウェーデンでは表面が少し焦げているくらいに焼くことが多いです。

4人分のレシピですので、半分量で2人用にしても良いです。あらかじめじゃが芋と玉ねぎを炒めるレシピもありますが。私はいつもこの方法で作っています。じゃが芋を細~く、細~く切れば、炒めておかなくてもちゃんと火が通りますので大丈夫。火が通っていなかったという失敗は往々にしてじゃが芋が太すぎるところにあります。

ところで、スウェーデンのアンチョビは日本で許可されていない添加物が使われているため輸入できないそうです。ですので、北欧に行ったらぜひ入手して欲しいものの一つ。ただし、缶詰ですが冷蔵保存なので、うっかり常温保存しないようにしてください。

常温保存していると中でどんどん発酵して大変なことになりますから(やった人)。

スウェーデンの友達によると、ヤンソンの誘惑はそんなに頻繁に食べるものではなく、クリスマスや夏至祭などご馳走の日に出される定番とか。日本のちらし寿司のようなポジションかな。

良かったら作ってみて下さい。そして、いつか北欧のアンチョビが手に入ったら、そちらでも作ってみて下さいね!

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