少しだけカルヤランピーラッカを作りたい人のための6個のレシピ

フィンランドのソウルフード、カルヤランピーラッカ。フィンランドに行かれた方なら絶対にどこかで見ている国民食です。私は初めてフィンランドに行った時にフィンランド人に勧められて食べたのがこのカルヤランピーラッカとシナモンロールでした。

一見難しそうですがコツさえわかれば簡単に作れるので、皆さんにコツを伝えながら作るワークショップが出来ないかなと思いました。せっかくなら去年作ったシナモンロールを4個だけ作るレシピのように最初から最後まで自分で関われる内容にしたいなとレシピを考えました。少量でも作りやすいように分量を調整しながら完成したレシピです。

最初はシナモンロールと同じく4個分にしようと思ったのですが、生地を伸ばしたり包んだりするのにちょっとコツがいる。4個だとコツをつかむ前に終わってしまうかも知れないので6個にしました。

実際作ってみると、生地が少ないので捏ねやすい、目で牛乳粥の分量を確認しながら均等割りできるので初めての方もフィリングの量に悩まなくても良いと、他にも良い点がありました。それに6個だけならオーブンが小さい人でも一度に焼けますしね。

それではレシピをどうぞ。

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6個だけ作るカルヤランピーラッカ

Karjaranpiirakka
分量 6 個分

材料

フィリング

  • 水 50cc
  • 塩 小さじ½
  • 無洗米 50㏄
  • 牛乳 250cc
  • バター 大さじ½

生地

  • ライ麦粉(細挽き~中挽き) 40g
  • 中力粉 20g ヒント参照
  • 塩 小さじ½
  • 水 40cc

バター湯

  • バター 10g
  • 水 50㏄

ムナボイ(卵バター)

  • 茹で卵 2個
  • バター 70g ヒント参照
  • 塩 適量

作り方

  • フィリングの牛乳粥を作る。厚手の鍋で湯を沸かし塩を入れる。米を加え弱火にし、米が水を吸って膨らんできたら牛乳を注いで蓋をする。焦げないように時々かき混ぜながら煮る。ねっとりしているけれど粒が残るくらいの粥状になったらバターを加えて火を止め冷ましておく。
  • 次に生地を作る。ボウルに水を入れ、ライ麦粉、中力粉、塩を加えへらでかき混ぜる。へらが重くなったら手に替えて全体がまとまるまで捏ねる。生地を台に出して直径2cmくらいの棒状に丸め、6等分する。切った生地にはボウルをかぶせて乾燥しないようにする。
  • 台にたっぷりとライ麦粉で打ち粉をして、それぞれの生地を麺棒で直径12cm~13cm、厚み1mmくらいの円形に伸ばす。引っ付きやすい生地なのでこまめに両面に打ち粉をする。生地にたっぷり打ち粉をして重ねておく。
  • 台に作った生地を並べ、それぞれの中心に①の牛乳粥を均等に乗せる。端を1cmくらい残して粥を広げる。親指と人差し指でひだを寄せながら内側に折りながら粥を包む(ヒント参照)。
  • クッキングシートを敷いた天板に並べ、250℃に予熱したオーブンで10~15分、牛乳粥に薄っすらと焼き目がつくまで焼く。焼いている間、小鍋に水とバターを入れてバターが溶けるまで火に掛けバター湯を作る。
  • 焼き上がったら熱々のうちにバター湯にくぐらせ、トレイなどに並べる。冷めるまで布巾をかぶせ、蒸気で生地をしっとりさせる。
  • ゆで卵を潰し、柔らかくしたバターを混ぜてムナボイを作る。食べるときにカルヤランピーラッカに乗せる。

動画

ヒント

中力粉について:中力粉が無ければ薄力粉を使う。あるいは薄力粉を強力粉を半分ずつ混ぜる。
ムナボイのバターについて:バターだけでは重い&カロリーが気になる場合は、全量あるいは好みの分量をカッテージチーズに置き換える。※カッテージチーズは手作りできる。
包み方について:生地は重ねない。つまんだり折りたたんだりしないで寄せるだけにする。
牛乳粥は冷めると米が水分を吸うので、へらですくってぽたぽた垂れるくらいの水分量で火を止めて下さい。
小さめのカルヤランピーラッカが6個できます。4個で大きく作っても良いです。

今回はカロリーが気になるので卵バターにつかうバターの半量をカッテージチーズにしました。カッテージチーズは購入しなくても、ヨーグルトと電子レンジで簡単にそれ風のが作れます。ヨーグルトならどこでも手に入るし、必要な分量だけ作れるのでお勧めです。

ヨーグルトで作る簡単カッテージチーズの作り方

必要量の4倍のプレーンヨーグルトを耐熱性のボウルに入れ、ふんわりをラップをして3分加熱する。コーヒーフィルターなどで水を切る。これだけです。出てきた水分は料理に使ったり、はちみつなどで甘みを加えて飲んでもいいです。私はホームベーカリーで作るパンの材料にしています。

乗せる具は卵バターが定番ですが、何も乗せなくても良いし、サーモンやハムでも、何でも自由です。私はまずは残ったバター湯と卵を混ぜて作ったスクランブルエッグを乗せました。残ったバター湯は捨ててもいいのですが、こうしてあとでスクランブルエッグにしたり、スープに入れるなど再利用しています。

カルヤランピーラッカは冷凍が出来ます。解凍は電子レンジで1分くらいかな。解凍後にトースターや魚グリルで焼き直すと香ばしさがアップします。

これで慣れたら2倍3倍と量を増やしてみてはいかがですか?分量は単純に掛け算で大丈夫です。ちなみに以前アップした20個分のレシピはこちらからどうぞ。

ところで、もともとフィンランドのカレリア地方で作られていた郷土料理がなぜ今はこんなにフィンランド全土に広がっているのか、カルヤランピーラッカの歴史について少し調べました。

以前どこかに書いたのですが、そもそもはカルヤランピーラッカはロシアに接する東フィンランドの郷土料理で、17世紀には作られていたそうです。もっとも当時は米は貴族しか口にできない高級食材だったので、米ではなく大麦の粥が使われていました。米が使われるようになったのは19世紀に入ってからとか。

第二次世界大戦後に東フィンランドの一部カレリア地方が戦勝国ソ連(現:ロシア)に割譲され、その地に住んでいた人たちが避難民としてフィンランド国境内に移住したのが全土に広がったきっかけです。カレリア地方はフィンランド人のナショナリズム(国民主義/愛国心)の象徴的な場所となり、フィンランド人の心の故郷と言われ、国民的抒情詩カレワラとカルヤランピーラッカは愛国心を支えるシンボルとなったとか。

なるほど、全土に広がったのは心情的な面もあったのですね。よりフィンランド的にするために輸入の米ではなく、国産の大麦粥フィリングを試す店もあるそうなのですが、やっぱり米の方が美味しいのでなかなか人気は出ないそう。いつかフィンランドで見つけたら試してみたい味です。

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