魔女の宅急便とスウェーデンのフィッシュグラタン/Fiskgratäng

何かを調べていて、たまたま映画『魔女の宅急便』に出てくるカボチャとニシンのパイを再現したというネットの投稿を見つけました。その料理の説明にスウェーデンを意識して飾りにブルーベリーを使ったとあって「あ、そうなんだ」と目から鱗。

映画を観たことはありませんが、魔女の宅急便の街並みはスウェーデンをモデルにしていることは知っています。でもモデルと実際は別物と思っていましたが、確かに映画に登場する料理にスウェーデンの風味を加えたくなる気持ちは分からないでもない。

面白くなって検索してみるとニシンとカボチャのパイ作りに挑戦している人が結構沢山見つかりました。映画に似せるために皆さんパイ生地を使って表面を覆っていましたが、スウェーデンではパイ生地で覆うパイはあまり見ない。

そこで私なりに「もしも魔女の宅急便の舞台がスウェーデンなら、ニシンとカボチャのパイはどんな料理か」考えてみました。思いついたのは、スウェーデンで伝統的な魚のオーブン料理の『Fiskgratäng(フィスクグラテン/魚のグラタン)』。マッシュポテトで壁を作って、中心にタラを入れ、ディルとレモン味のホワイトソースを注ぎオーブンで焼いた料理です。

実は英語ではマッシュポテトで表面を覆ったものも「Pie(パイ)」と呼びます。例えばイギリスのコテージパイ。なのでパイ生地を使わずにマッシュポテトで蓋をするのはありかと。

というわけで私の『妄想スウェーデンのカボチャとニシンのパイ』は伝統料理フィスクグラテンをベースにイギリスのコテージパイにインスパイアされ表面をカボチャのマッシュで覆った創作料理と仮定。

ジャガイモをカボチャにアレンジするのはちょっと冒険が過ぎる気がしたので、ジャガイモのままにして、それなら別に表面を覆うこともないかと考え、まあ、いろいろ考えてグルグル回って、結局普通のフィスクグラテンになりました。うん、まずは基本を押さえるのは王道ですよね。

なお、オリジナルの量を減らして作りやすい2人分にしています。

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スウェーデンのフィスクグラテン

分量 2 人分

用意するもの

  • 17cm角くらいのオーブン用の器(近い大きさなら丸でも楕円でもOK)

材料

  • タラ切り身 300g 皮と骨のないもの
  • レモン汁 小さじ2
  • (オプション)ボイル小エビ 85g 冷凍なら解凍しておく
  • 塩・コショウ 適量

マッシュポテト

  • じゃが芋 400g 男爵などホクホクした品種
  • バター 25g
  • 卵黄 1個分
  • 塩・コショウ 適量

ソース

  • バター 20g
  • 薄力粉 大さじ1
  • 生クリーム150cc 牛乳でも可
  • 魚の焼き汁 100cc ※後述
  • ディルみじん切り 大さじ3
  • レモン汁 小さじ2
  • 塩・コショウ 適量

作り方

具を作る

  • タラを深めの耐熱容器に並べ、塩・コショウして、レモン汁をかけて、アルミホイルで蓋をする。200℃に予熱したオーブンで15分焼く。

マッシュポテトを作る

  • じゃが芋を塩を入れた水に入れ、火にかけ、すっと串が通るまで茹でる。(沸騰してから20分くらい。)
  • お湯を切り、ボウルに入れてなめらかになるまで潰し、熱いうちにバターを加え混ぜる。粗熱が取れたら卵黄を加え混ぜる。塩・コショウで味を調える。

ソースを作る

  • タラを焼いた器から焼き汁を100cc取り出す。100ccに満たない場合は水を足す。
  • 鍋にバターを熱し、小麦粉を振り入れかき混ぜる。生クリーム(牛乳)を少しずつ加え良くかき混ぜる。タラから出た水を加える。
  • 火にかけながらかき混ぜ、とろみが出たら火を消し、ディルのみじん切りとレモン汁を加える。塩コショウで味を調える。

仕上げる

  • オーブン用の器にマッシュポテトで壁を作る。表面はガタガタにする。あえてガタガタにすることで、焼き目が付いたカリカリの部分ができる。
  • 中心にタラと小エビの半分を入れて、ソースを注ぐ。
  • 200℃に予熱したオーブンで15分くらい、マッシュポテトにいい焼き目が付くまで焼く。(具には火が通っているので、焼き目が付けばOKです。)
  • 焼きあがったら、残りの小エビとディルを飾る。野菜サラダと一緒にどうぞ。

動画

ヒント

小エビはあればゴージャスに見えますが、無くてもいいです。
4人分なら材料を倍にしてください。
マッシュポテトを絞り出し袋と口金を使って飾るとおしゃれです。
今回は生クリームでなく牛乳で作りました(買い忘れ)。なのでコクを出すため、ソースのバターの量を5gほど増やしましたが割とさらっとした出来上がりになっています。最近ヘビーなものが無理になってきたので私としてはちょうどよかったです。

フィスクグラテンは約60年前の、1960年に冷凍食品が販売されたのがきっかけとなり、スウェーデンの家庭に広がったそうです。今や『専業主婦』が死語になっているスウェーデン(20歳から50歳の女性の就業率は80%を超える)ですが、50年代までは家事は女性の仕事となっていました。共働きが増えた60年代に現れた冷凍食品が多くの主婦(夫)に支持されたのは分かる気がします。

今回は付け合わせに北欧の定番、キュウリの甘酢漬けを添えました。こってりとさっぱりの組み合わせが丁度いいです。

キュウリの甘酢漬けレシピは下記リンク先からどうぞ。

ところで、カボチャとニシンのパイは原作にない映画オリジナルなんですね。西洋のカボチャは火を通すとべちゃべちゃになって、日本のカボチャのようにほくほくとはなりません。そのため、スープやお菓子のパイのフィリングに使うのが主。ヨーロッパに住んでいるときにそれを知らずに日本の料理を作って大失敗したことがあります。

カボチャとニシンのパイが映画オリジナルと知って、ああ、日本人ならではの発想だなあと思ったわけです。もし、おばあちゃんが西洋カボチャで作っていたら…これはやっぱり美味しくない気がする…。

最近は『ホッカイドウ』という日本のカボチャに似た品種も手に入るようになったそうですね

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