Limpa(リンパ)とはスウェーデン語でローフのことです。ローフの意味を辞書で引くと『(一定の大きな型に焼いたパンの)ひとかたまり』。日本はパン文化でないので、ぴったりと同じ意味の日本語がないですね。
一般的にパンのかたまりを指すスウェーデン語なので、特定のパンの種類を表すわけではないのですが、まあリンパと言えばこれじゃね?というパンがあります。英語のWikipediaに下記のように書かれていました。
Limpa bread is a sweet Scandinavian rye bread, associated with Swedish cuisine. It is a yeast-leavened, butter-enriched spice loaf, sweetened with brown sugar and molasses. (中略) loaves are flavored with spices like anise, caraway or fennel seeds, and often orange rinds, raisins or sultanas, and dark beer, in addition to the wort.
【リンパブレッドはスウェーデン料理に関連した北欧の甘いライ麦パンです。バターを多く含んだイースト発酵のスパイスパンで、ブラウンシュガーとモラセス(糖蜜)で甘味がつけられています。(中略)麦汁に加え、例えばアニス、キャラウェイ、フェンネルシードといったスパイス、しばしばオレンジの皮、レーズン、サルタナ、ダークビールで風味付けされます。】
Wikipedia
そんなふんわりとした定義のパンなので、現地で作られているレシピは少しずつ違います。これは私が何度か作っているレシピです。もともと北欧料理の本にあったレシピを、少しずつアレンジして自分が作りやすい分量と材料で落ち着きました。
スベンスクリンパ
材料
- ドライイースト 4g
- バター 15g
- 牛乳 125cc
- モラセスシロップ 大さじ2 黒糖、はちみつ、メープルシロップでも可
- 塩 小さじ½
- ライ麦粉 75g 中挽き~粗挽き
- 強力粉 125g
- (オプション)スパイス 小さじ1 フェンネル、キャラウェイ、アニスを適当に
作り方
- 牛乳を40度くらいに温め、バターを溶かす。大きなボウルにイーストを入れ、温めた牛乳と溶かしバターを注ぎ、泡立てで良く混ぜる。
- ボウルにモラセスシロップ、塩、スパイス、ライ麦粉の半量を入れて良く混ぜる。残りのライ麦粉、強力粉を徐々に加える。
- 泡立てを手に替えて、10分くらいしっかりと捏ねる。丸くまとめてラップをかぶせ、2倍の大きさになるまで30分から1時間発酵させる。
- 発酵した生地を打ち粉をした台に乗せ、30秒ほど捏ねたら、15cmくらいの長さの塊にまとめてクッキングシートを敷いた天板に乗せる。フォークで全体に穴を空け、布をかぶせて2倍くらいの大きさになるまで30分から1時間発酵させる。
- 200℃に予熱したオーブンで30分焼く。焼きあがったら熱いうちにさっと水を塗る。
動画
ヒント
ほんのりとした甘みがあるので塩気のある具によく合います。クリームチーズを塗るだけでも美味しいです。スウェーデンのオープンサンドにもぴったりです。
焼く前にフォークで穴を空ける理由が分からないのですが、北欧ではふんわりとしているよりも目が詰まったパンが好まれるので、ガスを抜いて膨らみすぎるのを防ぐためではないかなあと想像しています。水を塗るのは外側を柔らかくするためとか。
同じパンを『Saftig limpa』としているレシピがありました。直訳するとジューシーなパン。パンにジュシーとは奇妙な感じがしますが、スウェーデンでは硬いパンが多いので、こういう柔らかめのパンは水分が多いと感じるのかな。柔らかいと言っても日本人にとっては特別柔らかくはないです。日本の普通のパンより目が詰まっています。
日本のパンは柔らかすぎるというのは北欧の人にしばしば指摘されます。スライスしたパンを持ったら折れ曲がったから驚いたと笑い話も。私はどちらかというとパンは硬めの方が好きなので、北欧のパンは好きなんですよね。ああ、北欧に行ってパン食べられるのはいつになるのかなあ。
具を選ばないタイプのパンなので、色々な食べ方が出来ます。ただ、今回分は先日の友人との昼食のミートボールに添えて出して全部ペロッと食べちゃいました。いつかまた作ったらオープンサンドでも作ってお見せしたいと思います。