フィンランドの料理教室で伝統の味を教わった

フィンランド滞在中、AirBnBで見つけた旅行者向けの料理教室に参加しました。作るのは、サーモンスープ(Lohikeitto/ロヒケイット)、ミートボール(Lihapullat/リハプーラット)、シナモンロール(Korvapuusti/コルヴァプースティ)の3品。いずれも典型的なフィンランドの家庭料理です。

「これは楽しそう!」と思って申し込みました。参加者は私を含めて4名で、他の3人はアメリカから来た方々でした。

まずはテーブルの上に並べられた食材の説明から始まります。

先生が「これは秘密の隠し味です」と言って、小さなカップを配ってくださいました。試しに一口飲むと……口の中に広がるのは、どこかで覚えのある香り。そう、サウナで使うエッセンスオイルのタールの香りです!

なんと「タールのリキュール」でした。

先生が「分かる人?」と聞くので、「タール!」と答えると「正解!」とのこと。

その後、先生がリキュールの説明を続けてくださったのですが、だんだんフラフラしてきました。実は私はアルコールに弱いのです。慌てて水をがぶ飲みしたものの治まらず、座って休ませてもらうことに。

このリキュール、アルコール度数は21%とお酒を飲まれる方にとってはそれほど高くないうえに、ほんのちょっとなので、先生にしてみれば「まさか」という感じだったかもしれません。少し休んだら無事復活しましたが、皆さんが心配して下さって申し訳なかったです。

食材の説明が終わると、いよいよ実習です。4人が2チームに分かれ、ひとつはサーモンスープ、もうひとつはミートボールとシナモンロール担当。私は後者のチームになりました。

まずはシナモンロールの生地作りから。材料を混ぜ、木べらで生地がまとまるまでかき混ぜます。ここで驚いたのは――なんと、こねないのです!
先生曰く「フィンランドのシナモンロールはふんわりさせないのがコツ」。グルテンを出さないために、あえてこねないのだとか。

混ぜ終わった生地はバスルームで発酵。フィンランドではバスルームに床暖房が入っていることが多く、その床暖房を利用するそうです。発酵の間に、ミートボールのたねを作り、コロコロと丸めていきます。北欧のミートボールは小さめサイズ。

隣のテーブルではサーモンスープチームが調理中。大きなサーモンの切り身を豪快に扱い、皮を外していました。こんな大きなサーモンが普通に手に入るのが羨ましいなあ。しばらくたつとバターで野菜を炒める、とてもいい香りが漂ってきました。

一方ミートボールチームは焼きに入ります。この時の「お箸トラブル」のお話は、以前書いたこちらのミートボールのレシピ記事をご覧ください。

焼けたミートボールは一旦脇に置いて、発酵した生地を台に出して四角く伸ばします。先生が「誰かやる人」と言ったので、思わず手を挙げました。四角く伸ばすのは慣れているのでお任せください。私が伸ばした生地を見て、先生が「すっごい四角!」。うれしい瞬間でした。

みんなでコルヴァプースティの形に成形します。

ここで「二次発酵かな?」と思いきや――そのままオーブンへ!
「フィンランドのシナモンロールはお菓子で、パンとは違うから」と先生。徹底的にふんわりは目指さない構え。

そして、サーモンスープも出来上がり!

スープを器によそってたっぷりのディルを浮かべると、これぞ北欧の香り。

ミートボールも盛り付け。ミートボールにはバターとディルで和えた茹でじゃが芋とビーツの酢漬けを添えます。もちろんリンゴンベリージャムも忘れずに。

やがてオーブンから甘くてスパイシーな香りが漂ってくると、全員が思わず笑顔に。

焼き上がったシナモンロールは、ふんわりというよりしっかりした食感。シナモンとカルダモンの香りが濃く、まさに「フィンランドのお菓子」という感じです。

どれも素朴で、心がほっとするような味わい。フィンランドの家庭の温かさを感じる料理教室でした。

ちなみに、タールの香りは、正露丸の香りに似ています。

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