アイスランドのシュークリームあるいは単なるボッラ

四旬節の始まる前日の火曜日に食べるスウェーデンのセムラはご存じの方も多いでしょう。もしかしたらセムラはフィンランドに伝わりラスキアイスプッラと呼ばれている事をご存じの方もいらっしゃるかも。

デンマークでは同じような意味合いのお菓子、ファステラウンボーラがあります。

耳にしたことのある方はそれほど多くは無いかも知れませんが、ベーカリーのアンデルセンでは毎年新しい味を出しているのでお近くにお店がある方にはお馴染みかな。毎年新しい味、と書きましたが、ファステラウンボーラの場合は生地もフィリングも特に決まったものはなく、小さなパン(あるいはデニッシュ)に甘いフィリングと甘いトッピングがあればどんな組み合わせもOKな気がする。セムラにも近年は色々なアレンジが生まれていますが、生クリームとアーモンドペーストがマストなのに比べるとかなり自由。

更にファステラウンボーラがセムラと違うのは脂肪の火曜日でなく、その前日の告解の月曜日に食べる点。これらの言葉の意味については長くなるので割愛。興味のある方は調べてみて下さい。それはともかく、今年の脂肪の火曜日=セムラの日は2月21日(毎年変わる)。今年は外でセムラを食べる機会が2回あるし、既に1月にセムラ作って食べたしで、目先を変えてファステラウンボーラ作ろうかなと思っていた矢先にこんなツイートが。

アイスランドはシュー生地なんだと、他のどの北欧国とも違う展開にビックリ。それも月曜日に食べるなんてデンマークと同じなんですね。俄然興味が湧いたので作ってみました。

祝!初アイスランド料理!

その前に…このお菓子について軽く調べてみました。名前も知りたいしね。アイスランドでは18世紀後半くらいから四旬節前にお菓子を食べる習慣がデンマークかノルウェーから伝わりました。どうしてなのか分からないけれど、そのお菓子はシュー生地にジャムと生クリームを挟んでチョコレート掛けしたいわゆるシュークリームになり、それを食べる日は「Bolludagur」と呼ばれました。Bolludagurは日本語に訳すのが難しいので、とりあえず菓子パンの日とでもしておきます。

その日の朝、子どもたちは飾り付けをした棒で寝ている親のお尻を叩き「Bolla!Bolla!Bolla!」と叫んでBolla(菓子パン)をもらいう習慣がドイツから伝わり…って、今ではこの習慣は廃れたらしい。そして、このお菓子の名称については、どうも単なるBolla(菓子パン)でいいらしいと理解。

実はこのBolla(読み方はボッラでいいのかな?)もファステラウンボーラと同じく、今では様々なフィリングと上掛けがあるのですが、今回はクラシックないちごジャム&ホイップクリーム&チョコレートで。ちなみにホイップクリームには恐らくセムラと同じく砂糖を入れないんじゃないかなと思ったのですが、生地が甘くないのでやや味が寂しく、砂糖入れました。ここら辺はお好みでいいです。

ちなみにこのシュー生地を表すアイスランド語は「Vatnsdeig」といい、直訳すれば水生地です。それではレシピです。

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アイスランドのボッラ

Bolludags Bollur
分量 6

材料

  • 水 100㏄
  • バター 30g
  • 塩 一つまみ
  • 薄力粉 60g
  • 卵 1.5個~2個 室温に戻す
  • いちごジャム 適量 あるいはお好みのジャム
  • 生クリーム 200㏄
  • 砂糖 15g
  • チョコレート 50g
  • サラダ油 小さじ1

作り方

  • オーブンは200℃に予熱しておく。
  • 鍋に水、バター、塩を入れて火に掛け、ぐらぐらするまで沸騰させる。
  • 火を止めて薄力粉を加え、へらで全体が馴染んで塊になるまでかき混ぜる。
  • 様子を見ながら溶いた卵を少しずつ加えて生地に混ぜ込む。へらですくうと、ゆっくりと落ちるくらいの硬さが適量(少し卵が余るかも知れません)。
  • クッキングシートを敷いた天板に、スプーンを二つ使って直径6cmくらいの大きさで6か所に生地を置く。焼くとかなり膨らむので、間を空ける事。
  • 予熱したオーブンに入れ、25分焼く。途中で決して扉を開けないこと。
  • 焼き上がった生地を網の上で冷ます。生地を冷ましている間にフィリングの生クリームと砂糖を泡立てる。チョコレートとサラダ油を湯煎で溶かす。
  • 生地の上部を横に切り、内側にいちごジャムと泡立てた生クリームを乗せる(生クリームは絞り袋を使うとよい)。切り取った上部で蓋をし、溶かしたチョコレートをかける。

動画

ヒント

生クリームは氷水で冷やしながら泡立てるとよいです。
上掛けのチョコレートには、今回はダークチョコレートを使いましたが、甘い方が好みならミルクチョコレートでもいいです。
クラシックなホイップクリーム&いちごジャム&チョコレート

レシピの前に書いたように、今ではキャラメルがけとか、ジャムではなくヌテラ(チョコレート風味のスプレット)を使うとか、マーマレードとか、コーヒー味とか、あるいはフレッシュベリーを挟むとか様々なバリエーションがあります。生地を沢山作って、小さめにして、様々なフィリングを用意し、ワイワイみんなで好きな物を詰めるボッラパーティーもよいですね。

最初に書いた通り、アイスランドでは月曜日に食べるので、今年は20日。一足早くこの週末に作ってみては?それでは、素敵な週末を!

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