スウェーデンで教わったのは目分量のルッセカットとセムラ

6月のスウェーデン滞在中、現地の方にルッセカットとセムラの作り方を教わりました。先生はスウェーデン人のご主人を持つエチオピア出身の女性で、以前はケータリングのお仕事をされていたそうです。

ちなみに、ルッセカットは12月13日の聖ルシア祭に食べられるサフランパン。猫のしっぽのようなS字型に成形して、表面にレーズンをのせるのが特徴です。サフランの香りが特徴のスウェーデンの冬に欠かせないお菓子です。

生地作りは捏ね機を使いました。捏ね機はスウェーデンの家庭では珍しくなく、レシピには機械で捏ねる時間が書いてあるのが通常。先生はまず目分量で冷たいままの牛乳を注ぎ(え!)生イーストを割り入れます。次にサフランの粉を一袋。そして小麦粉(たんぱく質10%の中力粉)、そして砂糖をカップでガシガシ入れて行きました。

最初は真面目にカップの数を数えメモを取っていたのですが、カップに入れる分量も山盛りの事もあれば少な目の時もあり、途中からメモはきっぱり諦めて、作る過程そのものを楽しむことにしました。なのでレシピは存在しません。

成型の方法は特に印象的。生地をきっちり測って分けていた自分は何だったのだろう、と思うほどラフ。伸ばした生地をピザカッターでざくざく切り分けていくので、当然大きさはまちまち。でもそんなことは一切気にしない。その様子を動画にしましたのでご覧ください。

結構適当だったのに、出来上がってみると意外と大きさが揃っていて驚き。

もちろん切れ端は残るのですが、全部まとめて丸めてケーキモールドに入れ、大きなパンとして焼き上げるというアイデアはなかなかかユニークでした。

もう一つ教わったのはセムラ。本来は四旬節前の「脂肪の火曜日(Fettisdagen)」に食べる伝統菓子で、丸いパンをくり抜いてマジパンと生クリームを詰め、粉砂糖をかけて仕上げます。今では2月ごろから4月ごろまで長期に渡り売られるほどの人気スイーツです。

そしてこちらも「目分量ワールド」。分量だけでなく、分割も成形も感覚任せで、何個できるのかさっぱり分からないまま進んでいきます。

丸めた生地の発酵はベランダで。ベランダの家庭菜園です。ひとつ落としてしまったけれど「すぐ拾ったから大丈夫」と、スウェーデンにも“3秒ルール”はありました。

あんなにラフに作っていたのに、オーブンから出てきたパンは見事に焼き上がっていて感激しました。パンってこんなに大ざっぱでもできるのかと、目からうろこ。

セムラは冷めてからが本番です。上部をはさみで切り取り、中をくり抜き、牛乳で溶いたマジパンと混ぜて詰め直します。

マジパンは市販を使用。日本では一部の専門店以外ではなかなか手に入らず、普段はアーモンドプードルから作らなければならないので、とても羨ましく思いました。

その上にたっぷりの生クリームを絞り、切り取った“帽子”を戻して粉砂糖をひとふり。これで完成。

ルッセカットと一緒にコーヒーを添えれば、スウェーデンのおやつタイム「フィーカ」の時間。

エチオピアはコーヒーでも有名。日本の茶道に似たコーヒーの文化があるよね、と話すと、先生も「そうそう」と笑顔で大きくうなずき、話が弾みました。

レッスンを終えてお別れし、お菓子は宿の冷蔵庫に入れさせてもらって、夕方の観光へ。帰ってきたところで偶然、先生とご家族に遭遇。先生の出身地エチオピアはアフリカとアラブの間に位置するため、両方の特徴を備えた美しい容姿で知られています。一方ご主人は典型的な北欧人の風貌で、二人並んで歩く姿はまるでガンダムのララァとシャア。そして、美しいお子さんたちは、もしララァとシャアに子どもがいたら、きっとこんな感じかな、と妄想に浸ってしまいました。

もっともララァは額にビンディーがあるのでインド人なのでしょうが。

分かる人には分かる話でしたね。

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