2003年から1年ほどアイルランドに住んでいたことがあります。それがきっかけで、2019年にアイルランドに縁のある人たちで集まり、東京で毎年開催されているセントパトリックデーのパレードに参加しました。次は持ち寄りパーティーをしようとなったので、何度か作ったアイルランドのソーダブレッドのレシピを見直して、自分なりの完成レシピを作りました。
ところが、コロナで2020年も、2021年もパレードの開催中止。なんとなくせっかくのレシピが宙に浮いてしまった感があるので、北欧ではありませんが、番外編としてご紹介します。
ソーダブレッドには思い出があります。今は変わったかも知れませんが、2003年当時は友達と外でランチでもといっても、おしゃれなカフェはほとんどなく、レストランは高額なので、多くの場合パブでいわゆるパブランチになっていました。ちなみにアイルランドにはどんな小さな町にもパブがあり、人口490万ほどにパブの数は7000軒以上と言われています。パブというとお酒を出すところというイメージがあるかも知れませんが、お茶だけでもいいし(お菓子はなかった)、簡単なランチも提供していて、地域に根差した食事処という感じでしょうか。
ところが、そのランチが往々にして不味い。イギリスの飯マズは有名ですが、イギリス文化の影響を色濃く受けているアイルランドの飯もまずい。なので、パブでは大抵スープランチを選んでいました。素材の味を殺す長時間調理は、スープになると生きるんですよね。大きなボウルにたっぷりのスープ、そしてスライスしたブラウンブレッド(ソーダブレッド)とバターが付いてきます。
ソーダブレッドはアイルランドのパンで、イーストではなく重曹(ソーダ)で膨らませす。材料を混ぜて焼くだけであっという間に出来上がるため、別名クイックブレッド。
精製された小麦粉だけで作る白いソーダブレッドもありますが、ブラウンブレッドを意識して、全粒粉を使ったレシピです。いくつかのレシピで作りましたが、全粒粉が入っている方が美味しかった。砂糖は入っていませんが、ほのかな甘みを感じます。また本来使うバターミルクの代用に牛乳とお酢を使っています。
アイルランドのソーダブレッド
材料
- 全粒粉 180g
- 強力粉 90g
- 薄力粉 90g
- 塩 小さじ1
- 重曹(食品用) 小さじ1強
- 牛乳 250cc
- 酢 大さじ1.5
作り方
- 牛乳に酢を加え、軽く混ぜて10分くらい置く(バターミルクの代用)
- 粉類を全てボウルに入れて混ぜ、中心にくぼみを作り、牛乳+酢を注ぐ。
- 木べらで混ぜ、なんとなく全体が混ざったら(粉が残っていてもOK)打ち粉を振った台にあける。
- 全体が馴染むまで数回軽く折って押さえながらまとめる。捏ねないこと。
- クッキングシートを敷いた天板に乗せ、丸く整える。表面に小麦粉を振って、包丁で深く十字に切り目を入れる。
- そのまま10分ほど置く。その間にオーブンを200℃に予熱する。
- 予熱したオーブンで30分焼く。裏側を軽く叩くと軽い音がしていれば焼き上がり。
動画
ヒント
焼きたての温かくしっとりしているときにバターとマーマレードを塗ってお召し上がりください。ジャムでも合いますが、なぜかジャムはスコーンで、ソーダブレッドにはマーマレードというイメージがあります。時間がたつとモソモソしてくるのですが、これがスープやミルクティーにぴったり。小腹が空いたときにもおすすめです。
セントパトリックデーに対抗したフィンランドの聖ウルホの日のスープと合わせたい。