先月、ワークショップの残りを使い切ろうと北欧の菓子パン4種類を一気に作りました。
これは残り物処分のための思い付きだったのですが、大変さよりも楽しさが勝り、それからは、もしも基本の北欧菓子パン生地から同じように作ったらどうなるかしら、やってみたいな、という気持ちがむくむくと沸き起こってきました。
基本の菓子パン生地とは、スウェーデンとフィンランドの様々な菓子パンを作れる、言葉通り基本の菓子パンの生地です。現地レシピを元に、日本でも作りやすい分量と味にし、その上分量は2で割り切れるようにしたので、少しだけ作りたい人にも対応できる(自分で言うのも何ですが)優れものレシピ。このレシピを使って私自身、今まで何度も様々な北欧の菓子パンを作っています。
さて、基本の菓子パン生地だと前回と違い10個分になるので、2個ずつなら5種類に。その増えた1種類は前回含まれていなかったデンマークにして4カ国揃えようと思ったものの、デンマークの甘いパンはデニッシュになってしまい、この生地を使った菓子パンを見つけることができませんでした。
そこで生地は違いますが、デンマークの四旬節のパン、ファステラウンボーラを応用してみることに。ちなみに本来ファステラウンボーラに使うのは、基本の北欧菓子パン生地よりもバターが多く水分と砂糖が少ない生地です。
上記のレシピではフィリングがカスタードクリームだけですが、そうするとノルウェーのスコーレブローと重なってしまいあまり面白くない。そこでレモンス&カスタードにしました。レモンスとはデニッシュで良く使われるフィリングで、マジパン、砂糖、バターを混ぜた(または砂糖とバターだけやシナモンが入る場合も)もので、伝統的なファステラウンボーラにも使われます。
というわけで、一つの生地から4カ国5種類の菓子パン完成がこちら!
左上から時計回りに、ファステラウンボーラ風(デンマーク)、スコーレブロー(ノルウェー)、カルダモンロール(スウェーデン)、ラハカプッラ(フィンランド)、シナモンロール(スウェーデン&フィンランド)です。フィンランドが、印象では同じ生地から作る菓子パンのバリエーションが一番多いように思っているのですが、何故再びラハカプッラにしたかというと単に私が好きだから。
それぞれのフィリングとトッピングの分量(2個分)は下記の写真をスライドしてご覧ください。なお、2個でも作りやすい分量にするために本来のレシピから多少調整しています。
※ファステラウンボーラのレモンスのマジパンは、グラニュー糖4gと水小さじ1を電子レンジで1分ほど加熱し水あめ状にしてからアーモンドパウダーと混ぜてよく練って作ります。
基本の北欧菓子パン生地からこれらの菓子パンを作る様子を動画にしました。なかなかこんな変な事をする人はいないと思いますが、参考までに是非ご覧ください。納得いかない部分があったので、一部撮り直し(=作り直し)ている涙の作。
ところで、最初にデンマークには同じパン生地を使った菓子パンが見つからなかったと書きましたが、実はデンマーク語でカルダモン入りの白いパンを探していると、基本の北欧菓子パンよりもやや砂糖の少ない生地で、フィリングもアイシングもないシンプルな丸いパンを見つけました。
デンマーク語でFødselsdagsboller(誕生日パン)といい、その名の通り誕生日に食べる習慣があるようです。食べ方は半分に切ってバターを塗るだけ。本当に誕生日にこのパンを食べるのか、どうしてなのか、良く分からないのでデンマーク人に確認すると「うーん、どうしてかなあ。誕生日の朝に食べるんだけど、普段朝はライ麦パンを食べるから特別感があるんだよね」ということでした。